リスクオン!日経平均一気に8800円台回復

2012年11月16日 11:00

 前日の国会での安倍自民党総裁との党首討論で、野田首相が「16日に衆院を解散する」と表明。解散・総選挙になれば民主党下野、自民党政権復帰は確実とみられる。自民党政権下では日銀に金融緩和圧力がかかる一方で日中関係は緊張すると予想され、株価の方向感は見定めにくいが、解散・総選挙は「政界の閉塞感打破」という意味では好材料。14日夕方から為替は円安、金利は上昇に動いた。業種別では自民党が国土強靱化基本法案を提案しインフラ整備で景気浮揚を図るという思惑から建設、不動産、金融などが物色されると見込まれ、15日の市場にそれを織り込んだ動きが出るかどうかが注目された。

 日経平均は8700円台を回復して始まり、8700円を割ってもすぐリバウンドした。後場は安倍総裁の「2%、3%のインフレ目標を設定して無制限に緩和していく」という発言で為替はドル円が81円、ユーロ円が103円に迫り、それを好感して先物中心に買われ8800円台に乗せた。終値は高値引けの8829.72円で、164.99円上昇。海外の機関投資家から大量買いも入って売買代金は前日の約6割増の1兆2484億円となり、まさに「リスクオン」が点火された日だった。

 注目の「自民党関連銘柄」建設、不動産、金融セクターは全て上昇。大成建設 <1801> 、鹿島 <1812> 、三菱地所 <8802> 、三井住友FG <8316> などに買いが集まった。復興関連銘柄も久々に買われ、円安で輸出関連株も好調。155円高のトヨタ <7203> 、ホンダ <7267> など自動車、新日鉄住金 <5401> など鉄鋼の他、原発再稼働に期待して関西電力 <9503> など電力、野村HD <8604> など証券、保険も上がっている。アイフル <8515> は10円高だが今日も売り買い活発で、売買高は1億株を超えてトップだった。売られた銘柄に光通信 <9435> 、ソフトバンク <9984> 、NTTドコモ <9437> 、グリー <3632> など情報・通信、セブン&アイHD <3382> 、ヤマダ電機 <9831> など小売、食品といったディフェンシブ系銘柄が多かったのも、リスクオンを象徴している。

 買い優勢の今日、逆行して一番目立ったのがソニー <6758> で、一時は98円安の772円まで売り浴びせられた。1980年4月以来32年半ぶりの安値水準で、その後、買い戻されて終値は77円安の793円だった。売買高は6390万株でランキング4位。下落の理由は前日発表された1500億円のユーロ建て転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行で、調達する資金の使い途は中核事業の設備投資以外に、普通社債の償還、資本提携で合意したオリンパス <7733> への出資、オリンパス子会社の買収にも使うという内容。もっとも、市場が問題視したのはオリンパス支援の是非ではなく、CBの転換に伴う1株当たり利益の希薄化懸念で、CBが957円の転換価格で全て転換されたら発行済株式数は1億5673万株増え、これは全体の15.6%にあたる。リスクオンしても、エクイティファイナンスはやはり株価下落要因だ。