各社、環境配慮型の福利厚生施設が登場

2011年03月10日 11:00

 三菱重工業が100%出資する菱重エステートが、東京都大田区に建設を進めてきたワンルームタイプの共同住宅「ディアレンス田園調布」を8日、竣工した。

 同社の独身寮として使用される「ディアレンス田園調布」は、敷地面積約3,650平方メートル、延床面積約6,770平方メートル。西棟(地上4階)、東棟(地下1階、地上5階)、管理棟(地下1階、地上1階)からなり、寮室は220室。管理棟には集会室が置かれ、居住社員の集まりに用いられるとともに、周辺地域住民の交流の場として開放する。

 この独身寮は省エネ・省資源が徹底されているのが特長。安定的発電と環境への優しさを両立させた太陽光発電システムを採用したほか、地域開放の集会室には、菱重エステートが手掛けた横浜のモデルハウス「エコスカイハウス」で実証済みの「エコスカイルーフシステム」を導入して大幅な省エネと住環境向上をはかっている。

 また、太陽光を蓄充電して夜間に自動点灯する屋外用LED照明や有機EL照明、太陽電池と風力発電で安定した充電を確保するソーラーウインドライト、さらには、太陽光や照明光を吸収して暗くなると光る完全ノン・エネルギーの蓄光板なども導入した。厨房には、ロータリー式とスクロール式の組み合わせでそれぞれの長所が発揮できる世界初の新型圧縮機搭載により、CO2排出量を夜間電力利用で約70%低減する業務用ヒートポンプ給湯機「キュートン」を採用する。

 さらに屋上と壁面は緑化することで、急激な温度変化から建物を保護するとともに、寮室サッシへの複層ガラス採用とあわせてCO2削減に貢献。また、雨水利用も導入され、これらの緑化や植栽の灌水に活用されるほか、共用トイレの洗浄水としても再利用される。太陽光発電システムを核にLED(発光ダイオード)・有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)照明、ヒートポンプなど、先進の省エネ・省資源技術を数多く採り入れた建物で、屋上や壁面には緑化も施して風致地区にふさわしい環境配慮型のものとなっている。今回の「ディアレンス田園調布」により、2009年度以降に完成した三菱重工独身寮への太陽光発電の導入は計6寮121KWとなるという。

 また、「心が強いきちんとした社員を作る」という観点から、新菱冷熱工業には、先見性や創造性が豊かで、チャレンジ精神旺盛な社員を育成するための環境創造企業にふさわしい社員研修寮として「耕風寮」があるという。

 「耕風寮」を環境性能に優れた施設とするため、自然エネルギーを利用した太陽光発電や太陽給湯システムを導入し、また、地域の緑豊かな自然環境に調和するよう植栽を多く配置し、壁面緑化を施すことで、CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)で「Sクラス(最高クラス)」の認証を取得している。

 事業だけでなく福利厚生などの施設にも環境を考えた取り組みをおこなう企業が増えることも、地球環境を考える上で大切な礎になると考えられる。