ダイハツの「ムーヴ」に搭載されるマルチインフォメーションディスプレイ&エコインジケーター。リアルタイムでエコドライブ度を表示する『ecoリーフゲージ』を備え、他にもアイドリングストップ作動中の経過時間や積算時間を表示する機能などを持つ。
日産『リーフ』の発売で注目を集める「EV」。または、トヨタ『プリウス』などの「HV」。そのどちらもエコカーと呼ばれている存在だ。しかし、ガソリンエンジン車と聞いてエコをイメージする人は果たしてどれぐらいいるのだろうか?
そもそもあいまいなエコカーの定義だが、国内ではエコカー減税対象車を定めた国土交通省の車両の範囲を指針にしていると思われる。その対象車は、昨年の4月1日から税額の変更があったが、EV・CNG(条件あり)・PHV・HV(条件あり)・ディーゼル自動車(条件あり)・低燃費かつ低排出ガス認定自動車(条件あり)など7項目に分けられたクルマだ。だが、最近ではこれらの無公害もしくは低公害車をエコカーとして認識するのではなく、世間の風潮や広告宣伝の影響もあり、EVやHVだけがエコカーだという誤った認識を持った消費者達も少なくない。特にガソリン車はひとくくりに、エコカーではないと思っている人達が身近にいるのだ。
そんな誤った認識を払拭するのに、積極的に取り組んでいるのが軽自動車業界だ。例えば、(社)全国軽自動車協会連合会は、軽自動車をよく知ってもらうための分かりやすいリーフレットを作成するなど、啓蒙活動のサポート体制を取っているし、軽自動車を販売するメーカー各社もウェブサイトなどで軽自動車のエコスタイルを積極的に紹介している。
例えば、ダイハツを例に挙げると、ウェブサイト上で「小さいクルマはエコ」とし、クルマづくりの観点から様々なコンテンツを展開している。「スモール=エコ」の関係ページでは、乗るときのエコを「低燃費」、つくるときのエコを「省資源」、そして”つくる”から”リサイクル”までのエコを「トータルでエコ」として分かりやすく解説しており、ユーザーが理解しやすいページ構成で掲載している。さらに、別ページでは未来の環境づくりとして4項目に分け、「工場のスリム化」「エコに繋がる性能(エコアイドル※アイドリングストップ)」「軽量化」「軽量・コンパクトなエンジン」をそれぞれ説明し、その具体的な車両として、『ムーヴ』へとリレーションしている。
実際に『ムーヴ』は、1月の軽自動車の新車販売(速報ベース※全軽自協発表データ)台数ではスズキ『ワゴンR』を抜き、約2年ぶりに首位の座を奪った。もちろんCM効果もあったと思われるが、普通乗用車を含めても、『プリウス』より上位の2位にランクイン(※自販連及び全軽自協発表データ)しており、軽自動車(ガソリンエンジン)がエコカーという一般認識に向けて、かなりの説得力があったはずだ。
だが、市場全体を見てみると、販売台数では10位までに5車種の軽自動車が入っていたが、4カ月連続で数字は前年同月を下回っており、手放しでは喜べない状況だ。やはり、エコカー補助金打ち切り後の反動減はまだ続いている。
軽自動車を所有し、乗るという事がひとつの「エコスタイル」である、と訴える軽自動車業界のメッセージが浸透するには、前年を下回る販売台数の回復が急務である。『ムーヴ』のTNP27の影響力の強さや、軽自動車クラス最軽量のスズキの新型『MRワゴン』発売など明るい個別の要素が牽引力となっていけば、軽自動車(ガソリンエンジン)はエコカーという認識が高まっていくはずだ。
(編集担当:加藤隆文)