EVの本格的な普及に向けた動き ―1―

2011年02月07日 11:00

k110206_013_1

積水ハウスが全戸建住宅に標準採用を決めたEV・PHV充電用のコンセント

 世界初の大量生産型電気自動車である日産 の「リーフ」が登場したことにより、いよいよ本格的な普及に向けた動きを見せ始めている国内のEV市場。日産は「リーフ」の生産体制を3月までに月間4000台以上に上げ、2011年度には年間5万台を生産すると発表しており、2010年度の目標である6000台はすでに予約完売済みという。一方、昨年の11月に生産累計5000台を達成した三菱自動車 「i-MiEV(アイ・ミーブ)」は、国内の個人・法人向けに約3000台(2010年の新車販売台数は2340台※全国軽自動車協会連合会発表)を販売したとしている。また、販売チャンネルの新しい試みとして、ヤマダ電機の首都圏17店舗で試行販売を開始しており、EV販売に様々な可能性を感じさせる動きを見せている。

 そして、この普及を後押しするのが政府の補助金制度だ。例えばリーフでは78万円が補助金として出され、消費者は298万円(車両本体価格は376万円)の負担で済む。だが、3月末が期限となっており、エコカー補助金と同様に駆け込み需要も予想される。

■関連業界の動き ~電池市場と関連企業~

 また、本格的なEV普及に向けて、インフラ整備になくてはならない関連企業の動きは活発になってきた。まずEVの心臓部となる電池だが、リチウムイオン電池市場には多くの企業が参入を表明している。こちらはEVメーカーと電池メーカーの合弁企業が次々と作られ、正に群雄割拠の時代に突入している。主な企業としては「パナソニックEVエナジー」(トヨタ 、パナソニック )、「オートモーティブ・エナジーサプライ」(ルノー、日産、NEC )、「ブルーエナジー」(ホンダ 、GSユアサ )などだが、単独企業でも三洋電機 や多数の海外企業が存在する。今後、生き残りを掛けた開発競争は激化するだろう。

 さらに、充電設備を備えた施設の整備も加速している。既にEVを販売するメーカーはディーラー網を使い拡大中だ。まだまだ、数は足りないが、急速充電機能を持つタイプの充電器も設置しているディーラーもある。他にも有料駐車場を運営する企業やイオン などの大型ショッピング施設など、設置数は今後急速に増えていくだろう。

 外に充電施設を求めるばかりではない。毎日帰る自分の家にも、もちろん充電設備は必要だ。いち早くこの設備を住宅のシステムの一部として商品化したのは、住宅業界大手の積水ハウス だ。同社は、この2月から販売する全戸建住宅に充電用のコンセントを標準設置することを発表した。このシステムを全戸建住宅に標準採用するのは住宅メーカーとしては同社が業界初。年間に1万5000戸を超える戸建住宅を販売し、マンションや賃貸住宅を含めた累積販売戸数でも業界最多を誇る同社が標準化に踏み切ったインパクトは大きく、他の住宅メーカーも追随することが予想される。

 また、面白いところでは、GSユアサ、三菱自動車などが、EV向け急速充電スタンドの電力貯蔵用電池を中古のリチウムイオン電池を再利用することを計画しており、すでに実証実験を行っているという。
(編集担当:加藤隆文)