2009年4月に導入されたエコカーの補助金制度は2010年も引き続き継続され、昨年8月までに約453万台がこれを利用、新車販売台数に貢献した。ところが、昨年の9月7日に補助金が打ち切りになると、一気に販売台数の伸びは鈍化、軽自動車業界もその影響を受けた。しかし、9月の駆け込み需要などもあり、それまで販売台数を大きく伸ばしてきた乗用車部門は軽自動車よりも10月以降の落ち込みが大きく、その反動が明らかに出る結果となった。(2010年の前年比は106.3% ※自販連データより)
補助金が打ち切られた途端、販売台数が落ち込み、まだまだ消費低迷を感じざるを得ない現状の中、2006年度から2009年度まで4年連続で軽自動車の販売台数1位を獲得しているダイハツ<7262>は、今年度も首位の座を守っている。(昨年12月現在)昨年の車種別では、ライバルであるスズキ <7269>の「ワゴンR」が1位ではあったが、ベスト10に「ムーヴ」、特に好調だった「タント」、安定した人気の「ミラ」がランクインし、2010年の年間も軽自動車売上No.1の座を獲得している。(ランキングデータは自販連調べ)
そんな中、ダイハツの2011年3月期の第3四半期累計決算が2月1日に発表され、営業利益は709億円と過去最高を記録している。この要因として、前述のエコカー補助金打ち切りの反動減を前倒し需要でカバーし、さらに受注が回復した所が大きい。中でもCMで「TNP27」が話題となっている新型「ムーヴ」が12月にデビュー、勢いを付けているのも好材料だった。受注もすでに2万台を突破しており、今後も好調さをキープしていく見通しだ。また、海外事業においては欧州市場は撤退したが、インドネシア、マレーシアが非常に好調であったことも貢献度が高い。
2011年の軽自動車市場に関してダイハツの関係者は現状を踏まえた上で厳しいと予測する。というのも、エコカー補助金終了の影響はまだ続くと見ており、軽自動車全体の販売台数は約10万台減と、まだまだ景気回復には至らない数字を予測している。だが、同社の販売台数は60万台との予測をしており、この裏付けとして好調「ムーヴ」の他に、今年の夏に国内市場に投入されるJC08モードで30km/Lを実現した「e:S(イース)」をベースとした新型軽自動車の存在がある。TNP27を超える低燃費に業界関係者も注目する。
2011年の軽自動車業界は、同じカテゴリー内での熾烈な争いに加えて、昨年華々しいデビューを飾った日産 「リーフ」をはじめとするEV、2年連続で日本一の販売台数に輝いたトヨタ 「プリウス」に代表されるHV、さらに進化したPHVというように、細分化した近年のエコカーとのエコスタイルの主導権争いも激しくなるに違いない。今後の動向に注目したい。