飲料業界各社、自販機開発で売上アップを狙う

2011年01月11日 11:00

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製品を購入し、ポイントを貯めて景品に交換できることで大人から子供まで人気を集めるダイドードリンコのポイントカード対応の自動販売機

 2010年の国内経済は、企業収益の改善をはじめ景気改善が期待されたものの、株価の低迷や円高が続き、雇用環境も悪化の一途を辿っていった。飲料業界も夏場の猛暑により効果が見込めたが、やはり消費者の節約志向や低価格化による販売競争は変わらず、各社苦戦していたのが現状であった。

 また飲料業界は、各メーカー様々な新商品を毎年発表するが、翌年以降に残るのは1%未満といわれるほど商品が定着するのが難しいようだ。ロングセラー以外はほとんど毎年、新たな商品開発を試み、発表するという繰り返しで苦慮を強いられている。基本的に清涼飲料市場の販売網は店頭と自動販売機が主だが、低価格競争が激化する店頭より、価格維持ができ、商品構成が自社で自在に変えられるという高いメリットがある自動販売機を販売力強化の重要ポイントと考えるメーカーも多くなってきているという。

 例えば2007年よりアサヒ飲料 <2598>とカルピス <2591>は自動販売機事業を統合し、売上・利益両面でのシナジーを追求。効率的な運営を推進し、業界4位のシェアを誇っている。コカ・コーラシステムは2011年1月より、自動販売機の新デザイン「3D VIS」を標準機とし、本格的に全国導入を開始。この「3D VIS」は、ひと目でコカ・コーラの自動販売機だとわかる画期的なフォルムとなっており、従来の一般的な自動販売機とは異なり立体的で象徴的なデザインを採用した曲線が特徴だ。製品を販売する箱から、ハピネスを提供する販売チャネルへとイメージを一新、大きく進化を遂げている。

 元々、売上の約90%が自動販売機であるダイドードリンコ <2590>も、ポイントカード対応自動販売機やおしゃべり自動販売機など消費者に支持される注目度の高い新たな自動販売機の積極投入を実施。不採算先自動販売機の撤去やスクラップ&ビルドという投資効果に主眼を置いた設置ロケーションの選定を実施するなど、採算性を何より重視した強固な自販機網の構築に注力している。さらに自社ホームページの「自販機ショールーム」というコンテンツでは設置イメージが膨らむように、ユーザーが画像を取り込んで実際に設置した雰囲気を見れるようにするなど、工夫を凝らした自動販売機の設置拡充に取り組んでいる。

 2011年、各メーカーがどのような自動販売機の開発を行い展開していくのかに注目したい。