東北大学大学院医学系研究科の谷内一彦教授とサイクロトロン・ラジオアイソトープセンターの田代学准教授がPET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)を用いて、前夜に服用した鎮静性抗ヒスタミン薬による「二日酔い」の分子イメージングに成功し、そのメカニズムをヒトで初めて明らかにした。
分子イメージングとは「生物が生きた状態のままで外部から生体内の遺伝子やタンパク質などの様々な分子の挙動を観察する技術」のことで、OTC薬によく含まれている鎮静性抗ヒスタミン薬を前夜に服用すると翌日まで影響し、アルコールと同じ二日酔い状態になることが知られており、今回の成功は、これを科学的に証明したもの。
教授らは「眠くなる鎮静性抗ヒスタミン薬はOTC薬として睡眠補助薬、花粉症薬、風邪薬、乗り物酔い止めに含まれているので、車の運転や重要な試験を受けるなど高い能力を発揮する必要のある時は前日の夜に服用しないように、十分な注意が必要」とアドバイスしている。
研究では、PETを用いて前夜に服用した鎮静性抗ヒスタミン薬が12時間後にどれだけ脳に残っているかを調べた。その結果、「眠くなる鎮静性抗ヒスタミン薬を服用すると受容体の約50%が占拠されていたのに対し、眠くならない抗ヒスタミン薬は15%程度であった」とし、「以前の研究から50%の受容体が占拠されるとひどい眠気と脳機能障害が起きることが分かっている。高い能力を発揮する必要のある時は前日の夜に服用しないように、注意が必要」とした。
(編集担当:福角やすえ)