金沢村田製作所 仙台工場を約2年ぶりに再稼働

2010年12月06日 11:00

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約2年ぶりに稼動する金沢村田製作所の仙台工場。その背景には、ムラタグループの好調な業績が窺える。

 株式会社村田製作所<6981> はこの度、同社の100%子会社である金沢村田製作所の保有工場であり、09年4月以降閉鎖していた仙台工場を2011年1月1日より再稼動させると発表した。

 08年のサブプライムローン問題に端を発した世界同時不況の影響から、電子部品市場は急激な落ち込みを受けた。とくに日本国内での生産を主軸においていたムラタの被害は大きく、金沢村田製作所では、弾性表面波フィルタの製造を行っていた同社仙台工場を09年4月より一時閉鎖し、それまで同工場で勤務していた従業員を金沢事業所に異動させるなどの対応をとっていた。

 しかし、村田製作所は09年度下半期には黒字に転調、2010年度も順調に推移し、10月29日に発表した2010年4~9月期の決算では、売上高3,150億円(前年同期比23.2%増)、営業利益463億円(同658.3%増)、税引前四半期純利益475億円(同512.3%増)、四半期純利益311億円(同555%増)と大幅な増収増益となった。特に、中国・インドといった新興国市場での新規加入者増による携帯電話端末台数の増加に加え、部品搭載点数の多いスマートフォン人気により、部品需要が大きな伸びを見せている。

 こうした背景を受け、村田製作所では一時閉鎖していた仙台工場を再稼動させることを決定したようだ。同工場では携帯電話の基幹部品である「弾性表面波フィルタ」の生産活動を再開し、今後は金沢事業所と仙台工場の2拠点体制で安定供給を図り、市場の需要に柔軟に対応していく構えをみせている。