取り扱い店舗が減少する「排卵日検査薬」、困惑する女性たち

2010年12月06日 11:00

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排卵日が1日前にわかる排卵日検査薬は、調剤併設薬局で買うことができる。

 妊娠を望んでいる女性にとって一番不安なことは、自分が妊娠できるのかということ。特にフルタイムで働く女性は、時間的な余裕がなく、肉体的、精神的にストレスを抱えている場合もあり、大きな不安を抱えているという人も多い。そういった女性が計画的な妊娠を求める場合、最も妊娠しやすい排卵の前後のタイミングを事前に知ることが重要となる。その方法としてよく知られているのは、体温の変化で排卵のタイミングが分かる「基礎体温」。しかし、これは低体温から高体温に変わったことで排卵があったことを事後的に知るものであり、使い方次第では排卵が起こるタイミングを間違って認識してしまうことも少なくない。

 より正確に排卵のタイミングを知るため、排卵日検査薬というものが販売されている。これは、排卵のきっかけとなるLH(黄体形成ホルモン)の濃度の上昇を採尿によってとらえるもので、約1日前に排卵日を予測することができる。しかし、2009年6月の薬事法の改正によって、排卵日検査薬はこれまで取り扱われていたドラッグストアなどの薬店やインターネットの通信販売では購入することができなくなり、薬局で、さらに棚置きではなく、薬剤師を通してでしか購入することができなくなった。取り扱いする店舗の数は、薬事法改正前の約3分の1に減少した。

 それに伴って、排卵日検査薬市場で60%のシェアを獲得するロート製薬<4527>のお客様専用電話番号には、ひと月に薬事法改正前の約5倍の1000件もの問い合わせがあり、そのほとんどが「どこで売っているのか」という切実な質問だという。これを受けてロート製薬では、ホームページ上に取扱店リストを掲載するなど、よりスムーズに購入できるようサポートを行っている。それだけでなく、今月1日には、1996年に発売した排卵日検査薬の草分け的存在である「ドゥーテストLH」を、使いやすさを最大限に追求し、リニューアル発売した。新しくなった同商品は、判定時間を8分に短縮し、正しく検査が行われたのかを知らせる確認サインをつけた。さらに、尿ハネしにくく、外したキャップを後部に差し込んで使用することでより使いやすくできるスティックタイプを採用。内袋に商品名を記載せず、袋を落とした時や捨てる時にも恥ずかしさを感じることのない仕様にした。採尿時間も2秒と短くてすむ。排卵日検査薬のメーカーとしては、他に「P‐チェックLH」を販売するミズホメディーや、「チェックワンLHデジタル」を販売するアラクスなどがあり、どちらもロート製薬と同じように、ホームページに取扱店リストを掲載している。

 排卵日検査薬は、「妊娠」という女性が抱える悩みの中でも最もデリケートなものに関連する商品であり、不妊に悩み、それを利用する女性にとっては購入ルートや使いやすさ、検査の正確性を含むすべてが切実な問題である。妊娠を願う女性が気軽に、安心して検査を行えるよう、販売店やメーカーのサポートが期待される。