海外企業買収のプラス効果、マイナス効果

2012年11月05日 11:00

 製薬大手7社(田辺三菱製薬、大日本住友製薬、第一三共、武田薬品工業、エーザイ、アステラス製薬、塩野義製薬)の2013年度中間決算は、国内の薬価切り下げで経営環境が悪化する中、明暗分かれる結果となった。

 最も好業績だったのが塩野義製薬で、国内で主力8品目の販売が伸び売上高10.7%増。アメリカ子会社の赤字が縮小し、事業構造改善費用が消えて特別損失が減少したため、最終利益は81.2%増で過去最高になった。大日本住友製薬は売上高の伸びは0.4%の微増だったが、販管費の減少で最終利益は14.4%と2ケタ増。アステラス製薬は後発薬の影響で売上高を1.5%減らしたものの、販管費と研究開発費の減少で最終利益は11.8%伸ばした。田辺三菱製薬の売上高は1.7%増だったが、研究開発費増、赤十字社との血漿関連事業の統合費用などが利益を押し下げ、最終利益は2.4%減だった。

 武田薬品工業は買収したスイスのナイコメッド、アメリカのURLファーマの分が加わり売上高は12%伸びたが、最終利益はナイコメッドの買収費用の負担や研究開発費増で11.7%減となった。エーザイは主力品の販売低迷で売上高12.9%減、最終利益26.5%減と不振だった。第一三共はインド子会社ランバクシーの売上増等で売上高こそ6.2%増えたが、インドでの販促費増、ルピー安の為替差損などが響き、最終利益は34.3%の大幅減になった。

 通期の業績見通しは、田辺三菱製薬は増収増益だが、後発薬の影響を見込んで売上高を40億円下方修正し4250億円とした。最終利益405億円は据え置き。大日本住友製薬は3480億円への減収見通しは据え置いたが、販管費のさらなる減少を見込んで最終利益を120億円から135億円に上方修正した。第一三共は売上高9800億円、最終利益が381.6%増の500億円という増収増益見込み。武田薬品工業も売上高1兆5500億円、最終利益は1550億円の増収増益見込み。エーザイは売上高6100億円、最終利益590億円の減収増益見込み。アステラス製薬は営業利益、経常利益の見込みを上方修正したが、売上高9720億円と最終利益980億円の通期予想は据え置いた。塩野義製薬は売上高見込みを60億円下方修正したが、最終利益見込み320億円は変わらない。

 製薬大手の業績を主に左右するのは、国内では薬価引き下げ、海外では特許切れに伴う後発薬参入だが、武田薬品工業、第一三共、塩野義製薬などは円高を背景に積極化した海外製薬企業の買収が売上にも利益にも大きく影響している。短期的には、買収が売上増につながる一方で償却費用が販売管理費比率を押し上げ、利益を圧迫する。ライセンス取得や研究開発での買収効果は後で効いてくるが、それまで我慢が必要になる。