寝るだけで心拍や呼吸を計測

2010年06月21日 11:00

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寝ているだけで、心拍や呼吸の状態をリアルタイムに計測・分析できる「非接触・非拘束型生体センサーシステム」の設置例。

 ベビーベッドで寝ていた赤ちゃんが、いつの間にかうつ伏せになって窒息状態に陥ったり、寝たきりの高齢者が心拍や呼吸の異常を起こした時、周りの家族や介護者が気づくのが遅れれば、痛ましい事故につながりかねない。

 そんな中、ただベッドに横になっているだけで心拍や呼吸などをリアルタイムに計測・分析できるセンサーが登場した。この「非接触・非拘束型生体センサーシステム」を開発したのは大手住宅メーカーの積水ハウス <1928> とITベンチャーのアミタテクノロジー。このセンサーシステムは、非測定者の身体に特別な機器を装着したり、体の動きを制限する必要がないため、睡眠時に寝返りを打っても安定して生体情報を測定することが可能なのだという。

 同センサーシステムは、空気圧の変化を検知する圧力センサーを内蔵したパッドと、そこから得た生体信号を心拍・呼吸・体動の信号に分離するセンサーユニットで構成されており、それらの生体信号を解析して被測定者の入眠のタイミングや睡眠深度の測定、覚醒の予測、居眠察知をリアルタイムに行うことができる。

 積水ハウスでは今後、同センサーシステムと住宅内の集中制御システムを連動させ、睡眠状態に合わせて空調や照明、BGMなどをコントロールしたり、乳児や高齢者の睡眠時における突発的な異常をすばやく察知するなど、付随するシステムの開発を検討していく方針だ。

 実用化が進めば、生活者の生体情報の異常を警報によってタイムリーに介護者や家族に伝えることや、センサーパッドを車の運転席に内蔵し、居眠り運転による事故を未然に予防するなど、様々な活用法が考えられる。要介護高齢者の増加や、蔓延するストレスによってもたらされる睡眠の質の低下が懸念される昨今。大きな可能性を秘めた新システムの動向に今後も注目していきたい。
(編集担当:上地智)