XPサポート期間終了で加速するOSの世代交代

2013年04月21日 19:13

 2001年に発売されて「Windows XP(以下、XP)」。発売されると同時に日本でも大ヒットとなり、10年以上が経った今でも、多くのユーザーが愛用している人気のOSだ。

 世界のOS市場においては、未だに約4割ものシェアを維持しているXPだが、日本国内においても、後発で発売された「Windows Vista」の評価が低かったため、一般家庭や会社でもXPからアップグレードせずに、使い続けているケースが多いようだ。IT専門の調査会社IDC Japanが昨年秋に発表した調査結果によると、XPを搭載しているPCは法人向けで約1419万台、一般向けでも約1170万台もあるとされている。

 そんなXPユーザーにとって懸念されていたのが、サポート期間の問題だ。XPはメインストリームのサポート期間が7.5年と通常より長かった為、エクステンデッドサポート(延長サポート)期間を加えると、12.5年という異例の長期間サポートが継続されていて、サポート完全終了のXデーが近づいていた。そして先日ついに、日本マイクロソフトから、XPおよび「Office 2003」、「Internet Explorer 6」のサポート期限が終了まであと1年というアナウンスが正式に告知されたのだ。

 OSのサポート期間が過ぎても、PC自体が起動しなくなるわけではないが、セキュリティ用の更新プログラムが配布されなくなるため、PC利用における安全性が著しく低下してしまう。特に多くの個人情報などを取り扱う企業にとっては、進化するウィルスやサイバーテロなどを考えると、PCを買い替えるかソフトのアップグレードが必須となるだろう。PC依存率が高い現在において、重要な情報を安全に管理するためには、2014年以降、XPというOSはないものと考えておいた方が良さそうだ。

 そこで今後注目されるのが、PCの買い替え需要だ。昨年秋に鳴り物入りで登場したマイクロソフトの最新OS「Windows 8」だが、想定した程の評価を市場から得られず、やや伸び悩んでいたが、このXPサポート期間終了を期に、一気に普及が加速する可能性が高くなったと考えられる。

 こうした中、日本マイクロソフトは、今後の1年間を最新PC環境への「移行支援強化期間」と位置付け、業界パートナー約360社と連携し、アップグレードを促していくという、XPユーザーに対するアップグレード支援策を発表しているが、中小企業や個人ユーザーを含めて国内に約2600万台もあるXP搭載PC全てを問題なく移行させることは容易ではなさそうだ。

 日本は海外に比べて、ウィルス攻撃が少なかった為、操作性で評価が高かったXPが愛用され続けていた傾向にあった。しかし、最近では、ウィルスも進化しサイバー攻撃が増えてきており、PCセキュリティの強化は重要になっている。最新のWindows 8は、このような攻撃に強く、セキュリティの精度も高いとされているために、XPユーザーにとっては、アップグレードするには最適のOSとなるだろう。しかし、長年愛用したXPの使用感から、最新OSへの移行に抵抗を持つユーザーも多く出てくるかもしれない。さらに、企業ユーザーは業務上の稼働台数が多ければ多いほど、システムの移行作業には膨大な時間やコストがかかってしまうことになる。

 10年以上も働き続けたのだから、スムーズに世代交代をしてあげたいところだが、今後移行に関して様々なトラブルが発生してくることが懸念されているという事は、その功績があまりにも偉大であった証ではないだろうか。(編集担当:北尾準)