村田製作所 アイドリングストップ対応のコンバータを商品化

2010年05月24日 11:00

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アイドリングストップ時のカーナビやカーオーディオへの影響をなくすムラタのDC-DCコンバータ

 生活のあらゆるシーンで環境意識が高まる中、自動車業界においても環境に配慮した車が注目されているのは周知の事実。昨今の原油高も相まって、ハイブリッドカーや電気自動車もこぞって開発され、世界的規模での普及が進んでいる。また、ガソリン車でも燃費向上策の一環として、アイドリング中のエンジンストップを実施している人もいるだろう。

 今月19日~21日まで、パシフィコ横浜にて開催されていた『人とくるまのテクノロジー展2010』では最先端の自動車関連技術が展示されていたが、その中で株式会社村田製作所 <6981> が興味深い製品を出展していた。アイドリングストップ対応の車載用低電圧駆動DC-DCコンバータだ。

 アイドリングストップを行ったときに、カーナビやカーオーディオなどのデバイスが一時的に動作しなかったり、リセットされてしまったりということを経験し、ストレスを感じた人も多いのではないだろうか。これは、エンジン再始動時にスタータに多くの電流が流れることにより、バッテリ電圧が一時的に低下してしまうことに起因するものである。

 今回、ムラタが開発し、商品化した車載用低電圧駆動DC-DCコンバータは、そんな不満を解消してくれる自動車部品なのだ。DC-DCコンバータとは、電源などから提供される電圧を、機器を動かすのに必要な電圧に変換してくれる部品である。ムラタの開発したDC-DCコンバータは、エンジン再スタート時に低下した電圧を昇圧することで、アイドリングストップ時のカーナビやオーディオへの影響をなくすことを可能にしている。

 通常時のバッテリ電圧は約13.5Vだが、エンジン再スタート時はスタータに多くの電流が流れるため、バッテリ電圧は約6Vまで低下する。アイドリングストップに対応するためには、この両方の電圧に対応できる回路を構成しなくてはならないため、設計難易度は従来のコンバータに比べて格段に高くなる。このコンバータが普及すれば、アイドリングストップ運動も広がるだろう。
(編集担当:藤原伊織)