国土交通省の2008年度建設業構造基本調査で、建設業者が昨年度に受注した総工事件数の68.5%が原価割れの状況が明らかになるなど、業界の厳しさが浮き彫りになっているが、公共事業の減少に加え、民需低迷で、特に地方の中小零細企業は下請け、孫請けにも参入が難しい状況に追い込まれている。
こうした状況下、各地域の建設業者の存続を支援することにより、地域雇用の促進、地元経済の活性に繋げようと、災害復旧事業など一定の事業に額面(限度枠)を定め、該当事業については、工事箇所のある市町村や周辺市町村に本店を置く業者にのみ入札資格を与える「地域要件」を設定して、地元雇用と業者育成を図る自治体も出てきた。
限定した公共工事に「地域要件」を加え、地元経済を支えていこうとしている自治体は奈良県で、こうした取り組みは他の自治体にも波及していきそうだ。
奈良県が地域要件を設定しているのは、「災害復旧事業」と「災害防除事業」で設計金額で5000万円未満の事業。また、「急傾斜地崩壊対策事業」と「治山事業」については設計金額1億5000万円未満の事業を対象としている。
地域要件設定の理由については「地元業者は現場の地理や周辺住民の生活状況に精通しており、即応性、機動性がある」という。奈良県は新年1月4日以降の公告、指名通知から運用する。
また、入札の透明性や競争性を確保するため、800万円以上は一般競争入札とし、市町村エリアを設定して、概ね10社程度の応札が可能なようにする。指名競争入札(800万円未満)では概ね10社程度を土木事務所長、農林振興事務所長が選定するとしている。
(編集担当:福角忠夫)