東日本大震災以降、電力に対する消費者の視線は厳しくなってきている。それに加えて以前からのエコ志向と相まって、太陽光パネルへの関心がより高まっている。
また「住宅用太陽光発電システム導入支援補助金」という国による補助金制度もある。こういった様々な要因を背景に、太陽光パネルの国内出荷量は、毎年順調にのびている。
しかし、住宅の屋根に太陽パネルを設置する場合、そこに穴を開ける必要があり、それで導入を躊躇するユーザーも少なからずいる。
そんな中、パナソニック<6752>が、太陽光パネルを、穴を開けずに設置できる屋根、「機能屋根システム」を開発して来月より発売する。ただし、このシステムが利用できるのは、同社が1995年以降供給している独自の耐震住宅「テクノストラクチャー工法」に対してのみである。因みに、この工法の住宅は2013年3月に累計4万棟の販売を達成している。
屋根に穴を開けないので、通常の太陽光パネルより、たやすく取り付けが可能になったり、屋根に風の通路を確保するので、自然の力を生かした排熱ができると同社はしている。また穴あけをしないことで、施工による雨漏りの心配もないとのこと。
それでは、競合する京セラ<6971>やシャープ<6753>は、屋根への穴あけ不要のこの「機能屋根システム」をどのようにみているのだろうか。
京セラ・広報室に問い合わせてみると、「1997年より、新築時及び屋根の葺き替え時という条件があるのですが、『支持金具方式』という工法で、屋根に穴を開けずに設置できる太陽光パネルの施工を行っています。しかし太陽光パネルの施工の約7割が既築住宅のために主軸の工法とはなっていません」、という回答であった。
またシャープ広報室に取材を行うと、「市場の動向をみながら検討していきたいが、雨漏りなどの対策については現在も万全を期しております」とのことであった。
時代の流れからいっても、太陽光パネル市場は今後も成長していくことは間違いないだろう。しかしながら、この「屋根に穴をあけずに設置できる太陽光パネル」については、さまざまな観点から未知数ではないのかと思われる。(編集担当:久保田雄城)