前週末17日のNYダウは121ドル高で15300ドル台。ミシガン大学消費者景況感指数、景気先行指標総合指数が市場予測を上回り、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁がQE3継続を強調して大幅高になった。20日朝方の為替レートは、前週末は103円台に乗せていたドル円は甘利大臣の発言で瞬間101円台の時間帯もあったが102円台後半、ユーロ円は132円近辺で、円安が進行していた。
日経平均は122.49円高の15260.61円と、約100円の「マド」を開けて上昇し今週の取引が始まった。午前10時前には15300円台に乗せ、政府が月例経済報告で「緩やかに持ち直している」と景気判断を上方修正した後にじりじり上昇する展開で、後場も15300円台で200円以上の上昇幅を維持。終値は222.69円高の15360.81円と大幅続伸で年初来高値を更新した。TOPIXは+16.27の1269.51。売買高は48億株、売買代金は3兆5651億円だった。値上がり銘柄1106は東証1部全体の約65%を占めていた。
東証1部33業種別の騰落率は、プラス上位が海運、電気・ガス、鉄鋼、石油・石炭、鉱業、非鉄金属など。マイナス下位が不動産、医薬品、空運、銀行、陸運、小売などだった。
自動車株は買いを集め、三菱自動車<7211>は売買高2位に入る人気ぶりで16円高。マツダ<7261>は10%を超える上昇の42円高で年初来高値を更新した。日産<7201>も65円高。次世代「プリウス」向けにリチウムイオン電池増産に入ると伝えられたトヨタ<7203>は120円高で、共に電池生産会社に出資しているパナソニック<6752>も44円高。電機ではシャープ<6753>はストップ高の80円高で、ソニー<6758>も116円高と買われていた。ルネサスエレクトロニクス<6723>は一時ストップ高の98円高で値上がり率5位に入った。
17日に日銀が大量の国債買入オペを行って、これで安定するかに見えた債券市場だが、この日は黒田総裁が「金利上昇は当然」と発言したため債券先物市場が下落し、長期金利は一時0.875%まで上昇。金利に敏感な不動産株は三井不動産<8801>、住友不動産<8830>、三菱地所<8802>が揃って下落し、ケネディックス<4321>も下げた。メガバンクもふるわなかったが、野村HD<8604>は売買代金2位の29円高で年初来高値更新。ノンバンクではオリックス<8691>は下げたが、アイフル<8515>は後場急騰し売買代金5位で120円高。クレディセゾン<8253>は164円高と大きく上昇した。
この日の主役は「エネルギー関連」。前週末から新聞では原子力、シェールガス、ソフトエネルギー関係の記事がてんこ盛りで、関連銘柄の株価が大きく動いた。
原子力はこの日の日経朝刊1面で「インドと原子力協定、政府合意へ」と報じられた。インドは2020年までに18基の原発を建設する計画で、9兆円規模の商機が見込まれ成長戦略第2弾の「インフラ輸出」の目玉候補。原発メーカーの日立<6501>は20円高、東芝<6502>は24円高、三菱重工<7011>は26円高で、原発関連銘柄の日本製鋼所<5631>と木村化工機<6378>はともにストップ高の100円高で値上がり率10位、12位だった。前週は人気沸騰の東京電力<9501>はこの日もストップ高の100円高で値上がり率11位に入り、約4.4億株が取引され売買高、売買代金ともに1位を占めた。
シェールガスは、アメリカのエネルギー省が17日に対日輸出を解禁した。その第1号プロジェクトに関わる中部電力<9502>は106円高、大阪ガス<9532>は19円高。おなじみのシェールガス関連銘柄の石井鐵工所<6362>は28円高、LNGタンクのトーヨーカネツ<6369>は28円高で、掘削用コンプレッサーを製造する荏原<6361>も年初来高値を更新した。17日に三井物産<8031>、三菱商事<8058>とともにアメリカ・ルイジアナ州のLNG生産事業参画に合意したと発表した日本郵船<9101>は30円高で年初来高値を更新。日本郵船に限らずLNGの輸送需要増を見込んで川崎汽船<9107>など海運株は軒並み上昇し業種別騰落率トップ。資源・エネルギーは総合商社の最大の収益源なので、三井物産は56円高で中国経済の不透明感で出遅れた分を取り返して年初来高値を更新し、三菱商事も32円高だった。
ソフトエネルギーも負けていない。日本近海の洋上風力発電所建設事業で2020年に1000億円規模の受注を目指すと報じられた丸紅<8002>は28円高で年初来高値更新。大分県の阿蘇くじゅう国立公園内で地熱発電所を建設するための調査を行うと報じられた九州電力<9508>は56円高、北海道江別市の工場内に未利用木材のバイオマス発電所を建設すると報じられた王子HD<3861>は11円高で年初来高値を更新した。太陽光発電関連のサニックス<4651>はストップ高の300円高で値上がり率トップ。SBエナジーでメガソーラーを展開するソフトバンク<9984>も270円高で年初来高値を更新した。
エネルギーは日本経済の行方を左右する重要な問題なので、この先も長く市場の関心度が高いテーマであり続けるだろう。(編集担当:寺尾淳)