太陽光発電システムビジネスが本格化

2013年05月12日 19:02

太陽光発電国内参入相次ぐ

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)導入から、約半年たとうとしている現在、大型の太陽光発電所(メガソーラー)の建設に、国内で相次いで参入計画が進んでいる。

 この傾向は都会よりむしろ地方の方が顕著で、特に広大な原野を保持している北海道や九州に集中しているのが特徴と言えそう。

 しかし予断を許さないのは政府の方針だ。「脱原発」「原発ゼロ」の世論の流れに、民主党政府が押され、再生可能エネルギーのエースともいえる太陽光発電推進に力を入れてきたが、新政権自民党は、原子力エネルギー推進を謳っていることもあり、政府の打ち出す方針でこの計画が揺らぐ可能性は否定できない。

 今の段階では、政府自民党はこの問題に対して方向性は示していない。だが世界の傾向として、どの国も太陽光発電重視の方向性は変わりがなく、日本でも受け入れざるを得ないという見方が一般的だ。

 日本ではFITを10年前に打ち出した、ヨーロッパの教訓をモデルとして、すでに動き出しているのは確か。経済産業省は、こうした動きに、制度の対象として新たに認定された再生エネルギーへの、投資の主力は、資金力の豊富な商社などの大企業だとみており、大型案件を競い合うように開発すること、歓迎すべきこととみている。そこで国内の太陽光発電計画の実態を探ってみたら、太陽光発電メガソーラーは北海道・九州に集中している。

 メガソーラーの投資先上位は、全体の40%が北海道、20%が九州で占めている。内訳は北海道、鹿児島県、福岡県、鳥取県、山口県など地方中心。これは広大な用地を安く確保できるからだ。一つの例を挙げれば、ソフトバンクと共同で鳥取県米子市にメガソーラー3万9600kwを建設予定の三井物産。今後も太陽光発電に力を入れ、エネルギー確保は最重要課題としている。

 他のメガソーラー事業への参入予定企業と予定発電応力は、京セラなど7社が、鹿児島市に7万kwを建設、三井化学など6社が愛知県・田原市に5万kw、近畿日本鉄道が奈良県大淀町に3000キロワット、森トラストが福島県泉崎村に2000キロワットを建設予定している。

 かって日本は再生エネルギーで世界のトップに立って引っ張ってきた。2000年代の半ばまでは、太陽光発電の導入量、太陽光発電のパネルシェアは世界のトップであった。しかし政府は家庭用太陽光発電の補助制度を05年に打ち切った。これ以降日本の太陽光発電事業は完全にストップ、この時期に、ドイツを始めとするヨーロッパなど、世界が太陽光発電に本格的に取り組み、世界1から6位まで落ちることになる。

太陽光発電先進国欧州の教訓

 欧州は消費するエネルギーの20%を再生エネルギーとするなど、具体的目標を決め60年代半ば以降FIT導入や送電網の整備などに本腰を入れ始めた。

 一方日本は、太陽光発電パネルのシェアでトップだったシャープは、ドイツの企業に抜かれた。シャープは今経営危機に立たされている現状だ。そのヨーロッパの現状は、2011年、太陽光発電の容量を世界で一番増やしたのはイタリアだろう。太陽光の総発電量ではドイツに次いで第2位にのし上がった。07年には太陽光発電約8万7000キロワット、12年現在はなんと1250万キロワットに増えている。

 それは大規模発電所メガソーラーが次々に建設され、パネル産業や建設業などの関連雇用も顕著になった。この背景には太陽光発電に特別枠を設け、優遇するイタリア独自の買い取り制度「コントエネルギア」であろう。

 欧州諸国では太陽光発電が普及し、普通の電力になりつつあるというのが実情だ。