ネット通販など医薬品の通信販売については副作用リスクの低い第3類医薬品に限るとする省令が6月1日から施行された場合、弊害が大きいとして「薬局や医薬品扱い店舗のない離島居住者や遠方から通販で第2類医薬品や薬局製造販売医薬品を購入している人たち」への便宜を図るために、これに該当する人たちは6月1日以降も「2年間に限り継続して第2類医薬品や薬局製造販売医薬品を購入できる」とする改正省令案が同省で示され、5月18日まで同案に対するパブリックコメントの受付も行われた。
同省では寄せられたコメントを現在、分析中で、5月22日午後3時から都内(省議室)で開く同省の検討会(医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会、座長・井村伸正北里大学名誉教授)で寄せられたコメントなどを踏まえ、改正省令案を審議する。
同省では「かなりの数のコメントが寄せられており、検討会にどのような形で提示していくか、その作業も含め急いでいる」と話している。2年の経過措置として設けられた改正省令案は第2類医薬品を通販で購入している現在の利用者らに支障が生じないよう、6月1日施行という施行日が先に決まっているだけに、今回の検討会で煮詰めた議論が期待されている。
なお、検討会傍聴希望者は5月20日午後3時までに第7回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会傍聴希望を標記し、住所、氏名、職業(所属)、連絡先電話番号、ファックス番号を書いて、同省医薬食品局総務課(ファックス番号03・3591・9044)へ、ファックスで申し込むこと。定員は100名程度で、応募多数の場合は抽選になる。抽選に外れた人には後日、連絡が入る。連絡が入らなった場合は直接会場(千代田区霞ヶ関1ー2ー2、中央合同庁舎・厚生労働省省議室)へ。
厚生労働省では、今回の経過措置について「あくまで、環境整備のための経過措置」としており、2年後には省令通り、第2類医薬品の通販は認めない方針。ただ、通販を経営の柱としている伝統薬業界にとっては2年の延命策が取られたとしか解されず、ネットを含めた医薬品通販の在り方は今後も議論の対象としてくすぶり続けそう。
改正省令案の概要(離島居住者に対して、薬局開設者は薬局製造販売医薬品と第2類医薬品を郵便などで販売することができる。また、店舗販売業者は第2類医薬品を郵便などで販売することができる。いづれの場合にも販売記録を作成のうえ、保存すること。また、この場合、離島居住者に郵便などで販売する旨を離島の名称とともに、所轄の行政担当機関に届ける必要がある。また、現在、薬局製造販売医薬品を郵便などで購入している利用者の場合、あるいは第2類医薬品を購入している利用者の場合、情報提供を要しない旨の確認がとれれば郵便などで販売しても良い。ただし、販売記録を作成し、保存するとともに、郵便などで販売することを所轄の行政担当機関に届ける必要がある)。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)