豚インフルエンザの感染拡大、世界経済にも影響

2009年04月28日 11:00

 26日、石破茂農相は報道番組に出演し、「豚肉は輸入でも国産でも、出荷段階で完全に殺菌される」と安全性を強調。「豚肉を食べてもまったく問題ない」と述べ、豚肉を敬遠していく傾向が考えられる国民に対して冷静な対応を呼びかけた。また「仮に豚インフルエンザにかかった場合でも治療薬のタミフルが効く。その量も国内には十分ある」とも語った。

 先週末に、メキシコで発生した豚インフルエンザが世界を揺るがしている。訪米中のカルステンス・メキシコ財務相は、現時点で同国の金融システムは問題なく機能しているが、今後の具体的な影響については推定できないと述べ、市場の動向を見守っていく考えだという。

 世界保健機関(WHO)が「人から人へと集団感染する新型ウイルス」と判断した場合、国際レベルの警戒態勢が現在のフェーズ(段階)「3」から、「4」に引き上げられる可能性が高い。「3」は新たなウイルスによる人への感染に限定され、人から人への感染による拡大がみられない状況。「4」は小規模な集団での人から人への感染がみられる段階を指す。

 日本では、「4」になるとまずは全閣僚からなる「新型インフルエンザ対策本部」を設置し、専門家の現地派遣が実施される予定だ。発生地域からの入国者に対して質問票や診察など国内へのウイルス侵入を防ぐため検疫の強化も図られる。感染が疑われる人がいた場合には、近くの医療施設などにとどまるように指示。行動を共にしていた人にも外出自粛を呼びかける場合もあるという。

 さらに発生地域からの国際線運行の自粛も要請。在留邦人への注意喚起もされる。国内で発生した場合には、住民に対し可能な限り外出を控え、発生地域での娯楽施設の営業の自粛勧告、イベントの開催、全国規模で学校の休校措置を発令。社会活動が制限されてしまうことになる。

 フィルス感染が拡大すれば、これらの対応が日本だけでなく、全世界で行われたことになるだろう。そうなった場合、「豚インフルエンザ」は人命だけでなく、世界市場にも大混乱を招く恐れがある。世界各国は、一致団結して、迅速で的確な対応をしていかなくてはならない。