日本経済団体連合会の農政問題委員会は食料供給力の強化に向けた農地の確保と有効利用の促進策をまとめた。
同委員会は「海外に多くの食料を依存しているわが国国内では、耕作放棄地の増加や農業従事者の高齢化と深刻な後継者難などにより、食料生産基盤が崩壊しかねない深刻な状況におかれている」と日本農業の現況を分析。「食料を安定的に供給していくため、国内における食料生産基盤を維持・強化するとともに、国民や市場のニーズに対応した開発から生産・流通・販売に至る体制を確立することにより、食料自給力の向上を図ることが喫緊の課題。合わせて海外との連携・協力等を強化し食料輸入を安定的に確保する体制を充実することにより、国内自給力の向上と相俟って、総合的な食料供給力の強化を図っていかねばならない」としている。
そのため、「農地制度を根幹から見直し、優良農地を最大限確保するとともに、これらの農地の有効利用を徹底していかねばならない」とし、「農地の所有と利用を分離し、農地を有効に利用する担い手への農地の集積を促していくべきである」と提言している。
また、農地法の目的を「農地は農地として有効に利用すること」と改めるとともに、「優良農地の転用規制を強化し、法人経営体も含め、農地を利用する意欲を有する多様な担い手を確保していくことも必要。法人経営体は新規就農の受け皿として期待されていることもあり、多様な経営体の参画を促すべき」とした。
農地の集約化のためには「市町村、農業委員会、農協、農地保有合理化法人、土地改良区等が有する農地に関する情報を一元化し、関係機関共通のデータベースを構築し、相互に活用するとともに、地域の実情や関係者の意向を踏まえ、地域における農地の計画的な利用と担い手への集約・再配分を行う機能を整備することも重要である。とりわけ、新規参入者や農産物の安定的供給のための規模拡大を志向する経営体にとって、貸出希望等の農地に関する情報が広く公開され容易に入手可能となることが最も望まれている。従って、貸出農地及び賃借料等の情報について、それを個人情報保護に配慮した上で広く公開し新規参入者等が入手できるようなシステムの構築が強く求められる」と農地賃貸に関する情報提供のシステム構築の必要を訴えている。