医薬品のネット販売 第3類医薬品に限る

2009年02月09日 11:00

 一般用医薬品の安全性を重視しての販売制度の見直しなどを図る、改正薬事法の完全施行を6月に控え、厚生労働省は2月6日、インターネットなど医薬品の通信販売については、副作用リスク分類でもっとも軽い「第3類医薬品」(約700成分)に限定して認める省令を公布した。また、新たに医薬品販売の専門家として創設された登録販売者(登録販売者試験は都道府県が実施する)を店頭に配置すれば、薬剤師でなければ販売できないガスター10などの第1類医薬品を除き、コンビニエンスストアやスーパーなどでも風邪薬、鎮痛剤、漢方薬など第2類医薬品と整腸剤など第3類医薬品を販売することができるようになる。現在、市場に出ている一般用医薬品のうち、第2類、第3類の医薬品が9割以上を占めていることから、一般用医薬品市場は6月から新時代を迎えることになる。

 このうち、今回、特に注目されてきたのは、インターネットを中心とした「通信販売」について、どこまで医薬品の販売を認めるか、という問題。

 厚生労働省は、医薬品の安全性確保を目指し医薬品流通規制の改革を図ることが改正薬事法の趣旨であり、省内での検討会(医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会)でも副作用のリスクに応じて、販売できる者を薬剤師のみに限定した「第1類医薬品」(薬剤師が医薬品購入希望者に直接、服用方法や副作用、効能、効果を説明して販売することを義務付けた)と薬剤師と登録販売者が販売できる「第2類医薬品」(販売時に情報提供をする努力義務がある)と「第3類医薬品」(情報提供への努力義務がなく、購入者から質問があったときに対応する)に分類し、販売規制を行うことになっている。従って、医薬品販売は「対面販売が原則」であり、通信販売は情報提供規定がなく、副作用リスクも比較的低いビタミン剤など「第3類医薬品に限ることが適当」との姿勢を示していた。そして、「なるべく早い時期に省令を公布したい」との意向を昨年末に語っていた。

 これに対し、政府の規制改革会議は「すべての一般用医薬品について、通販を認めるべき」「高齢者や僻地などで第2類医薬品を購入している利用者が(省令施行後)通信販売で買えなくなれば、こうした人たちはどうなるのか」などと指摘。通信販売で扱える医薬品を第3類医薬品に限定することに反対し、厚生労働省に改めるよう、要求していた。

 これに対し、厚生労働省は「個々のケースはありうるが、全体として第3類のみにすることが妥当。郵便その他の方法に頼らざるを得ない消費者が、高齢者、障害者、妊婦、育児中の方であるなら、誤った医薬品の使用により重大な副作用被害の発生につながるおそれがあるため、より一層適切に情報提供を行い、一般用医薬品の適切な選択、購入及び適正な使用を担保することが必要と考えている。これらの方に対しては、医療機関への受診や福祉サービスの利用のために外出した際に医薬品を購入することや、これらの方から依頼を受けた家族などが薬局・店舗を訪れて医薬品を購入すること、配置販売による医薬品の配置等によって、一般用医薬品を購入すること等が可能であり、このようなルートを通じて、適正な情報提供を行うことが大事であると考えている」と回答。省としての方針を明確にした。

 ところが、1月23日になって、舛添要一厚生労働大臣までが「私のところにネット販売に賛成の方も、反対の方も来られている。ネット販売を促進してくれというのは身体障害者の方々とか、いろんな方がご要望なさいました。このような要望に対して、規制をしようという方はどう応えるのか」と政府の規制改革会議を後押しするような発言を行うなど、規制の在り方に慎重な姿勢を示すとともに、大臣直属の検討会を設ける考えを語った。

 こうした、流れの中での省令公布だけに、6月に予定される省令施行の前にも、省令が見直される可能性さえないとはいえない異例の事態を迎えている。舛添厚生労働大臣は今月中にも直属の検討会を立ち上げ、省として、医薬品の安全性を通販の中でいかに確保していくか、また、課題の利便性にどう答えていくかを論議し、第3類医薬品のみに限る省令に対し、賛成、反対の両者に納得のいく結論を導き出していきたい意向だ。

 なお、インターネットでの医薬品販売は禁止すべきとインターネットなどでの販売に反対している団体には日本薬剤師会をはじめ、全国医薬品小売商業組合連合会、全日本薬種商協会、全国配置家庭薬協会、日本医薬品登録販売者協会、日本置き薬協会、日本チェーンドラッグストア協会、日本薬局協励会、日本薬業研修センターなどがあり、「一般用医薬品を安全にかつ適正に使用してもらうためには、対面販売が必須であり、国民の安心と安全を守るためにインターネットでの販売は禁止すべき」としている。ただ、第3類医薬品の販売については全配協や日本薬剤師会は第3類医薬品には情報提供規定がないことから、インターネット販売でも許容範囲との判断を示している。

 一方、政府の規制改革会議をはじめ、ネット販売業者は「外出が難しい消費者や僻地、離島などの住民は利便性が損なわれる」などをあげて、反対している。