人事院は一般職非現業の国家公務員から勤務条件や職場でのいじめ、嫌がらせ等、人事管理全般に関する悩みや苦情について相談を受け付けているが、平成19年度での相談受付件数が延べ件数で1175件と1000件を超え、新規の相談件数も735件に上っていた。
新規の苦情相談(735件)を内容別に見ると、「転任、辞職などの関係」が177件(24・1%)、「勤務時間、休暇などの関係」が162件(22・0%)、「給与関係」が93件(12・6%)、「健康安全などの関係」が92件(12・5%)、「パワハラ」が73件(9・9%)、「パワハラ以外のいじめ・嫌がらせ」が49件(6・7%)、「セクハラ」が27件(3・7%)、「その他」が52件(7・1%)などで、新規相談の5件に1件(20・3%)がパワハラ、セクハラ、いじめ・嫌がらせといった内容だった。
また、苦情相談が多いのは職員数が多く地方出先機関を抱える府省庁で、新規の苦情相談735件を府省別に見ると、法務省が139件(18・9%)と前年度に引き続き最も多く、以下、国土交通省が113件(15・4%)、厚生労働省が105件(14・3%)、社会保険庁が75件(10・2%)、国税庁が38件(5・2%)、農林水産省が34件(4・6%)だった。
新規の苦情相談735件を処理状況で見ると、事情を聴取の上、相談に関する制度等の説明や問題解決に向けての助言を行ったものが633件(86・1%)、当局に申出内容を伝えたり調査を申し入れたものが76件(10・3%)、その他が26件(3・5%)となっていた。
勤務面での相談と対処事例では「4月から勤務している部署の業務量が多く、超勤はもちろん週末も出勤しなければならない状態が続いた。6月に体調を崩したが、休むことができず、結局、10月からうつ病で3か月間病休を取った。12月下旬に事務所の庶務担当から1月からの復帰の状況について聞かれたので、復帰に向けて体調を整えてきた旨回答したところ、所長が100%職務に復帰できるか不明だと言っており、復帰できる診断書を出すよう指示された。まだ通院中であり、100%回復しているかと言われるとわからない。主治医は、職場においてある程度業務上の対応を考慮してくれれば復帰できると言ってくれている」。これに対する対応として「申出人に対し、職員の健康管理に配慮する責任がある当局が必要と判断すれば回復状況を把握するため診断書の提出を求めることはあり得ることであり、管理者としては病気が再発することを懸念し、申出人の健康を考えてのものと思われる旨説明をした。また、復帰後、直ちに通常勤務が困難な場合には、健康管理医が指導区分を決定し、それに応じた勤務軽減等の措置を当局の裁量で行うことができるので、当局に状況を十分理解してもらうことが必要である旨アドバイスした」と報告。また、メンタルヘルス面での不調を背景とした相談の特徴とその対応として、「長時間勤務や職場のストレスなどにより心身の不健康を訴える職員が増え、心の病による悩み事を抱える職員からの相談も多い。メンタルヘルス面での不調に関する相談では、人事当局は職員の健康管理に配慮する責任があることから、適切な措置等の対応をすることが必要であり、申出人が希望した場合には、人事当局に相談内容を伝達し、必要に応じて健康管理上の対応を検討するよう求めている。また、申出人には、本人には病識がないが専門医への受診が必要と思われるケースも見受けられ、このような場合には、申出人に人事院が設置している、こころの健康相談室への相談を促す」としている。