今月、プロ野球球団が持つ商標権料と施設所有者の自治体が持つ施設の命名権料を等価交換する発想で、互いの発展を期そうというこれまでにない新しい協定「スタジアムニックネーム協定」がオリックス球団と大阪府富田林市との間に交わされた。
公式名称でなく、ニックネームとして呼称するもので、球団側は富田林市の市立総合スポーツ公園野球場に「富田林バファローズスタジアム」の愛称名をつけることができる。来年1月1日から1年間の契約だが、お互いに変更する意思がなければ、自動更新されていく。
本来なら命名権料を市に支払わなければならないが、球団側に支払い義務は生じない。一方、「バファローズ」の商標権料について、市はこの球場を会場にイベントを催すときに「富田林バファローズスタジアム」で開催すると告知するとき、商標権料を支払わなくていい。
互いに経費を発生させずに、愛称効果を享受できる仕組みで、全国の自治体もプロ球団と相互にそれぞれの目的追求にかなえば、こうした協定を期待するところが出てきそうだ。
今回、球団側では富田林市の市立球場がプロ球団の公式戦に対応できるものであることが分かり、今年7月に2軍の公式戦(オリックス対中日戦)で予想以上の成果を収めたこと。また、市内に近鉄線が通り、旧近鉄バファローズファンの掘り起こしと取り込みを図りたいこと。近鉄沿線住民にオリックス球団を自分たちの球団として根付かせたいなど、ファン拡大に大きな市場性を見出した。
一方、自治体側では、プロ球団の名前が球場につくことにより、プロ球団が認める球場として、球場の価値が飛躍的にあがること。少年野球をはじめ、市民らが誇りを持って球場を活用することにつながり、スポーツを核とした地域づくりにつながること。イベント開催会場に「富田林バファローズスタジアム」として告知できることから、市のPR効果が大きいなどが上げられる。
球団側は2軍の主催試合を来年も同球場で行いたい意向。富田林市は球場をより充実させていきたい意向で、この協定の実りが大きくなればなるほど、全国自治体から注目を集めそう。(編集担当:森高龍二)