1980年代ホンダ<7267>は米国において、大衆車のイメージを払拭するために、アキュラというブランドを立ち上げた。それを追うように、トヨタ<7203>はレクサス、日産<7201>はインフィニティというブランドを創設していった。マツダも日本でユーノスというブランドをかつて持っていたが、これはどちらかいうと販売チャネルの問題だったので比較はできないだろう。
そんなマツダがマレーシアで興現地組立体制の強化策として同社専用の車体工場の取得と車両組立工場の建設に着手した。生産委託先工場をマツダが所有することで、同社による生産計画や品質管理などを柔軟に対応・反映することが可能にとなるとしている。また車両組立工場は、マツダ・マレーシアの工場として、車体工場と同じ敷地内に5月下旬から着工しており、来年春の完成・稼働を目指している。完成後は、現在生産委託先工場で組み立てている「CX−5」を移管する計画だ。これらの現地組立体制の強化に伴い、合計で約1億リンギット(約30億円)をマツダは投じ、将来的には生産車種の拡大などにより、年間2万台規模の生産を目指していくという。現在マツダは、マレーシア向けの「Mazda3」(日本名:「マツダ アクセラ」)と「CX−5」の現地組立を行っており、それぞれの車種で年間3000台を生産する計画だ。現地生産した「CX−5」は既に販売を開始している。
マレーシアの自動車マーケットは年間60万台超で、ダイハツが出資しているメーカー「プロドゥア」が3割超のシェアを持っている。それに続くのが「プロトン」でシェアは約2割。それにトヨタ、日産、ホンダと続き、マツダの影は薄い。同国は低燃費で低価格の車がマーケットの中心となっている。マツダはコンパクトカーを含めて12車種を販売しているが、セールスがよいのは、「CX−5」と「Mazda3」である。そこでマツダは同国のメインマーケットではなく、このふたつの高級車を富裕層に対してプローモーションをかけるほうが得策だと判断したのだ。日本の感覚で、この「CX−5」と「Mazda3」を高級車とするか否かは難しいが、マレーシアでは間違いなくそれである。ともあれマツダのこの新しい動きに注目してみたい。(編集担当:久保田雄城)