厚生労働省研究班(代表研究者・朝田隆筑波大教授)は、65歳以上の高齢者の内、認知症の人は15%、462万人(2013年時点)、軽度認知障害(MCI)と呼ばれている「予備軍」は、400万人いるとの調査結果を明らかにした。調査は、09~12年度、専門医などが診断、環境が整った茨城県つくば市など8市町村で選んだ、高齢者5386人の調査データを使用した。
これを国立社会保険・人口問題研究所による、高齢者人口(12年)に当てはめ推計したもの。正確な診断に基づく、全国の認知症高齢者と、その予備軍の実態が明らかになった。
軽度認知障害(MCI)は、1990年代に提唱され、2003年に国際会議で、合意された概念だ。正常でもなく、認知症でもない、その中間の状態を指す。MCIについては、診断基準はまだ確立されていないが、本人や家族から記憶低下などの訴えがある事が基本となっている。
次の事がすべてあてはまるとMCIと疑われる。
(1)物忘れを自覚、家族もそれを認める場合(2)日付や曜日が分からない、この現象は、認知状態の低下(3)日常生活はできるが、特別な日常動作は難しいなどの場合は要注意と言う。
高齢者対象にこうした大掛かりな調査を行い、こうした調査結果を出したのは珍しいケースであり、貴重なデータと言えよう。
今、日本は、高齢者社会と言わず、超高齢化社会と言われるほど世界でもトップクラスの高齢化時代を迎えている。そこで年々増えているのが認知症だ。その予備軍と言える人たちが、400万人もいるのだ。厚労省もこうした貴重なデータを基に、早急な対策が求められている。こうした研究に国はもっと予算を投入して、超高齢化社会に対する対策を打ち出してほしいものだ。(編集担当:犬藤直也)