死刑制度廃止適当でない 福田首相

2008年03月13日 11:00

 福田康夫首相は死刑制度について、政府として「凶悪犯罪者に対しては、死刑を科することもやむを得ず、死刑を廃止することは適当でないと考えている」と死刑制度を容認する考えを明らかにした。

 鈴木宗男衆議院議員が「死刑制度の廃止を含めた検討を広く国民全体で行う必要があると考えるが、見解は如何がか」と政府の見解を質したのに対し、答えたもの。

 死刑制度については、刑事罰そのものを『眼には眼を』との応報的に捉える見方と犯罪者を矯正し、社会復帰させるために刑罰は存在すると教育刑として捉える見方によっても、存続か、廃止かの論議が2分している。教育刑との考えからは殺人犯を殺してしまう刑罰(死刑)は、刑罰の存在意義そのものを否定する罰でしかありえなくなる。

 一方、死刑制度が存在することにより、凶悪犯罪を抑止する効果がある、と死刑制度の支持者は『応報的な考え』と連動して、制度の存在意義を訴えている。

 政府は平成16年12月に実施した内閣府世論調査においても、「死刑がなくなった場合、凶悪な犯罪が増えるという意見と増えないという意見があるがどのように考えるか」との質問に対し、「増える」と回答したものが過半数を占めていたことなどから、死刑が犯罪に対する抑止力を有することは、広く認識されていると考えられる。また、死刑制度の存在が長期的に見た場合、国民の規範意識の維持に有用であることは否定し難く、死刑制度は凶悪犯罪の抑止のために一定の効果を有しているものと理解している」としている。

 福田首相は「この問題をめぐって、国民の間で多角的観点からの冷静な議論が行われることは望ましいものと考えているが、国民世論の多数が極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ず、死刑を廃止することは適当でない」との考えを示している。最近では2月1日に3人が死刑執行されている。 また、これに対する反対集会(死刑執行に反対する集会)も2月11日に日本キリスト教会館で開かれている。