昨年より続く濃い味ブーム。その勢いに陰りは見られず、今年も多くの新商品やリニューアル商品で「濃い味」が展開されている。
濃い味ブームの火付け役とも言えるエスビー食品は、2011年秋冬シーズンに発売し注目を集めたシチュールウ「濃いシチュー クリーム」「濃いシチュー ビーフ」をリフレッシュ発売している。これと同時に、同シリーズより「濃いハヤシ ルウ」を新発売。9月にはテレビCMを開始し、また、発売と同時に「濃い」と「恋」をかけたプレゼントキャンペーンを実施することで、今年も秋冬の「濃厚トレンド」の牽引を図っている。
アサヒ飲料も、江戸伝統技法で淹れた「特煎仕上げ」のお茶を加えることでコクと深みのある味わいを実現した緑茶ブランド「アサヒ 匠屋」より、ホット専用商品「匠屋 和みの濃いめ ボトル缶275g」を全国で新発売。通常品に比べ使用茶葉量を多くし、秋冬のホット緑茶に求められるしっかりとした緑茶の味わいを実現しており、キリッと引き締まる後口が特長の商品だという。
さらにハウスウェルネスフーズも、酸味と甘みのバランスを整え、濃厚なレモン風味を味わうことができるリッチテイストな「C1000レモンウォーター」を開発。「C1000 ちょっと濃いめのレモンウォーター」として10月1日から季節限定で商品展開し、濃い味市場に参入している。
その他、森永乳業は「濃いリッチプリン」「濃いリッチ杏仁豆腐」をリニューアル発売。「パウダー250%ハッピーターン」など濃い味商品が好評な亀田製菓も、3月からコンビニエンスストアで先行販売し、後にスーパーマーケットにも販路を拡大した「ハッピーターンちょこっとチーズ味」につき、濃厚感をアップさせた「ハッピーターン濃い目のチーズ味」を約2カ月の期間限定で販売しているなど、濃い味ブームは昨年以上に勢いを増しているようでもある。
トレンド総研の調査によると、調査対象の男女500人の内、濃い味を謳う商品を買ったことがある人は約6割となっており、老若男女に関わらず興味を引き購入が広がっていることが窺える。同調査ではさらに、ストレスに関する調査も実施しており、ストレスを抱えている人の7割が「濃い味商品を食べたくなる」と回答したという。濃い味の商品には、塩分や糖分などが過剰な商品も少なくないであろう。となると、それ単体で健康の大敵とされるストレスが、塩分や糖分などの過剰摂取を誘引し、さらに健康を害する可能性があるということであろう。一度濃い味に慣れてしまうと、自らの好みを薄味に戻すのは容易ではない。濃い味ブームが健康ブームを加速させて市場を拡大する。消費が、強いては経済が活性化するのは好ましいが、このブームにはどこか不健全なものを感じるのは間違いであろうか。