ロームグループのラピスセミコンダクタが、多直列セル構成のリチウムイオンバッテリーパックを搭載するシステム向けに、業界最大の16セルリチウムイオンバッテリーパックの制御、保護が可能なLSIチップセット「MK5238」を開発したと発表した。
ロームグループのラピスセミコンダクタが、多直列セル構成のリチウムイオンバッテリーパックを搭載するシステム向けに、業界最大の16セルリチウムイオンバッテリーパックの制御、保護が可能なLSIチップセット「MK5238」を開発したと発表。従来は複数の電池保護LSIが必要だったシステムにも1つのチップセットで対応可能な製品とのこと。
近時、産業機器・民生機器の分野で鉛蓄電池からエネルギー効率の高いリチウムイオン電池への置換えが加速。中でも電動アシスト自転車においては、市場拡大にともない、徐々にリチウムイオンバッテリーへの切り替えが増えており、電動工具においてもリチウムイオンバッテリーパックを使用したモデルが増加している。さらに、リチウムイオン電池の中でも正極材料としてリン酸鉄を使用したリン酸鉄リチウムイオン電池は、材料にコバルトのようなレアアースを使用しないことと熱暴走の危険性が少なく安全性が高いことから、需要が拡大すると見られている。しかし、リン酸鉄リチウムイオン電池は電圧が一般のリチウムイオン電池よりも低いため、同じ電圧を発生させるためには使用するセル数を多くする必要があり、対応セル数の多い電池保護LSIへのニーズが高まっている状況にある。
新製品のLSIチップセットは、こうしたニーズに応えるためのもの。80V高耐圧製造プロセスにより、業界最大16セルまでのリチウムイオンバッテリーパックに対応しながらも、動作時の消費電流は従来同等、またパワーダウン時の消費電流は限りなくゼロに近く抑えており、特に長期保管時のバッテリーパックへの負担は大きく低減しているという。また、セルバランス用には100mA対応のセルバランススイッチを内蔵。セルバランスのための外部回路が不要であり、低コストなシステムを構築することができる。さらに、外部LEDを5個まで駆動でき、バッテリー残量表示機能を容易に構成することができるとともに温度計を接続して最大8箇所の温度をモニタすることができ、より安全なシステムを構築することができる。
小型民生向けから産業用機器・電力貯蔵向けまで利用が広がり、2016年には2010年比2.7倍の2兆4028億円にまで市場が拡大しているリチウムイオン電池。この市場拡大に伴い、今回の新商品のような電池保護LSIへのニーズは益々高まるであろう。風上の市場動向に左右される分野であるだけに、リチウムイオン電池市場が順調に伸長することを期待したい。