内閣法制局長官に小松氏 人格識見で判断と強調

2013年08月09日 19:58

 法律問題に関し内閣や総理、閣僚に対し意見を述べるとともに、閣議に付される法律案などを審査する事務を担当する内閣法制局の長官に8日、駐仏大使だった小松一郎氏を、山本庸幸内閣法制局長官は最高裁判事に任命する人事が閣議決定された。

 内閣法制局長官は内閣としての憲法解釈を国会で行う立場にある。小松氏は集団的自衛権の行使について容認の立場といわれており、そのポストに小松氏を任命したことについては「現憲法下では集団的自衛権は行使できないとしてきた歴代政府の解釈を変更したい安倍総理が長官の挿げ替えを図った」との批判もある。

 社民党の照屋寛徳衆議院議員は「安倍総理は法の番人たる内閣法制局長官を交代させることによって、集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更を加速させ、実質的に憲法第9条改憲を成し遂げる解釈改憲実現に向け、着々と布石をうった」と批判した。さらに「まさしくナチスの手口(麻生副総理発言)による憲法改悪」と集団的自衛権行使を容認するための環境づくりを急いでいる結果としての人事だと警戒感を強めている。

 一方、菅義偉官房長官は「人事は本人の人格、識見、能力を踏まえ適材適所で行っている」とし、「小松氏は外務省の国際法局長や条約局に長く勤務した経験もあり、国際法の分野をはじめ豊富な知識と経験を有していることから適任と判断した」とし、集団的自衛権の行使についての解釈変更など特定の目的のために任命したのではない旨を強調した。また「内閣法制局は内閣を直接補佐する機関」と繰り返し強調した。

 しかし、自民党の石破茂幹事長は今月2日の記者会見で「集団的自衛権を行使できるようにするというわが党の立場からすれば、極めて相応しい人材を得たと思う」と解釈変更を図るうえで有利になることを隠さなかった。(編集担当:森高龍二)