自民党の石破茂幹事長は2日、内閣法制局長官にフランス大使の小松一郎氏が就任する人事について「国際法との整合、あるいは海外勤務も長い。スイスにおいて、いろいろな国の方々とさらに交流を深めた小松氏であるので、集団的自衛権を行使できるようにするというわが党の立場からすれば、極めてふさわしい人材を得たと、私自身は思っている」とし、集団的自衛権の行使に対する政府解釈の変更に有意な人材との考えを示した。
石破幹事長は「小松大使とは私も長い付き合いで、国際法局長の頃、週に何回もいろいろな議論をしたことがあり、スイス大使、フランス大使在任中も、帰国時はいろいろな話をしている。国際法のみならず、国内法の知見も十分な方で、国際法局長在任中は、私も防衛大臣として、いろいろな相談に乗ってもらい、識見に心から敬意を表している」と語った。
石破幹事長はそのうえで「集団的自衛権という問題は単に国内法のみならず、国連憲章を含めた国際法との整合が非常に要求される」とし「私どもとして集団的自衛権は行使できるという立場は持ちたい」とした。
集団的自衛権については歴代政府が「権利はあるが行使はできない」としてきた。同じ与党の公明党も「歴代政府の解釈は妥当」としており、見直しについては慎重に時間をかけて議論していくことが必要だとし、世論も集団的自衛権の行使ができるとの解釈への変更には懸念の声や慎重な検討が必要との声が多い。
石破幹事長は「アメリカまで飛んでいくということが確実なミサイルが飛んでいて、それを落とせる位置にわが国のイージスがいた。これを落とすというのは、どう考えても、どんなに無理を重ねても個別的自衛権では対応できない」と語った。集団的自衛権行使の可否の熟議の必要のひとつはここにある。同盟国のアメリカが日本とは直接敵対関係にない第3国と戦争状態になった場合、集団的自衛権の行使が可能で、第3国がアメリカ向けに発射したミサイルを日本が撃墜すれば、確実に日本は第3国にとって敵国そのもの(戦争当事者)になる。「まさにアメリカとともに海外でも戦う国にされてしまうのではないか」「歯止めがなくなる」との懸念や不安に対し、そうしたことにならないとする明確な担保を安倍政権は解釈変更前に国民に示す責任がある。(編集担当:森高龍二)