公務員宿舎の家賃値上げ 自衛隊員除外も

2013年08月09日 20:00

 佐藤正久防衛大臣政務官が9日、来年4月から予定されている公務員宿舎の値上げに伴う自衛隊官舎の家賃値上げについて、値上げが実施された場合、民間のアパートに移る隊員が増え、結果的に住宅手当や通勤手当などの財政負担増になるとして見直すべきとの見解を提起した。佐藤政務官は野党時代から自衛隊の任務の特殊性から自衛隊官舎に対する家賃値上げに反対していた。

 佐藤政務官によると「国家公務員の約4割は自衛隊員で、他の省庁と違い、そのほとんどは地方勤務」と指摘。官舎の家賃が上がることにより、民間のアパートに移る自衛隊員が増えれば「即応性が維持できず、任務にも大きな支障が生じる」と指摘している。

 佐藤政務官は東京・練馬自衛隊前官舎の月額5万円の家賃が10万円ほどになれば「川越市以遠の家具つきアパートに引っ越す隊員も増えるだろう」とし「首都直下型地震発生時には練馬部隊に到達するのも困難」と任務への支障を具体例としてあげた。

 また、国際貢献活動など「長期間にわたり自宅をあける機会の多い自衛隊員にとって、官舎は留守家族間の連携という意味でも重要」と指摘し、家賃値上げでの財政的効果の低さや財政面以外でのマイナス面を考慮した総合的な判断が、少なくとも自衛隊の任務の特殊性からは必要とアピールしている。

 官舎利用のすべての自衛隊員を家賃値上げの除外対象にするかどうかは多面的に検討しなければならないかもしれないが、緊急時の対応などに支障をきたさないための態勢を維持する観点から、一定の枠の下に、除外対象を設けることが求められそうだ。(森高龍二)