厚労省研究会報告書 財界言いなり 批判相次ぐ

2013年08月22日 12:26

 厚生労働省の労働者派遣制度のあり方研究会がまとめた報告書に野党から「財界言いなり、経営団体いいなりの内容だ」と批判が相次いでいる。同省は「労働政策審議会職業安定文科会労働力需給制度部会で労使を交えてさらに検討していく」としているが、労働環境の悪化など労働市場に大きな波紋を呼びそうだ。

 特に研究会が「26業種という区分に基づく規制の廃止を含め、労働政策審議会で議論していくことが適当」などとしたことへの反発は大きい。研究会は廃止の対象とすべきとした理由に「専門性は時代とともに変化するため判断基準を明確に定義するのは難しい」とか「付随的業務についても該当するのかどうか判断が難しい」などをあげた。26業種と区分規制した理由を考えれば、時代に合わせて指定業種にするかどうか検討していく方が理に適っているはずだが、政府・財界の意向にそった報告になった。

 社民党の福島みずほ前党首は「派遣労働を拡大し、26の専門業務区分を撤廃すれば、正社員からどんどん派遣に置き換わる」と批判。「非正規雇用の割合は現在54%になっており、ますます増える。大問題」として「国会でしっかりとりあげる」と猛反発している。

 共産党の志位和夫委員長は「派遣労働を臨時的・一時的な仕事から恒常的な仕事に変えようという根本からの改悪で許せない」と批判。派遣労働においては「規制緩和でなく、規制強化への転換こそ必要」とし、「根本から再検討しなければならない」とアピールした。

 若者の使い捨て雇用が社会問題化している中で、派遣労働においても労働者にとって保護されるべき法的環境整備こそが安定雇用と国民所得の底上げ効果に求められている。今回、派遣先企業の正規労働者との均等待遇が見送られていることも財界言いなりと批判される要因になっている。

国会で大きな議論になりそう。また、審議会が検討し、年内にどのような答申を出すのか、その内容に関心が集まりそう。(編集担当:森高龍二)