三菱商事がタウンシップ開発でシンガポール・セムコープと戦略提携

2012年09月25日 11:00

 三菱商事が、シンガポールのセムコープと、東南アジアにおける総合的な都市開発(タウンシップ開発)を行うことを目的とした戦略提携契約を締結したと発表した。

 堅実な経済成長とコスト競争力を背景に、中国に次ぐ物流・製造拠点として、90年代に続く第2の工業化が進んでいる東南アジア。現在の外資系企業の投資は、大半が製造業による工業団地内での設備投資であるが、近年では工業団地で働く従業員の福利厚生向上を目的とした、工業団地周辺の住宅や商業施設などの都市機能を含めたタウンシップ開発に対する社会的ニーズが高まっているという。

 セムコープ社はアジアにおける大規模タウンシップ・工業団地開発分野において20年以上の経験を持つリーディングデベロッパー。ベトナム、中国、インドネシアにおいて、工業団地、商業施設、住宅を含む総合的な開発を推進している。三菱商事は、セムコープ社の代表的事業であるベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)に、1996年当初から参画。東南アジアの中でも製造業拠点として注目度が高いベトナムにおいて計5ヶ所の工業団地(開発面積合計約6000ha)を手がけている。今回の提携により、セムコープ社が持つ工業団地開発のノウハウに、三菱商事が持つ住宅・物流施設・商業施設等の開発機能や、幅広い産業を事業領域とするグローバルネットワークの強みを融合させ、2015年のアセアン経済統合を見据えて、製造拠点や事業所等の進出が加速すると考えられる東南アジアにおいて、タウンシップ開発事業を展開する。

 経済成長が著しい上に、中国の成長鈍化やコスト向上などを受け、日系企業の進出が目立つ東南アジア。一方で、次の成長地域として期待される南米やアフリカへの進出・投資は、依然として本格化していないのが現状である。治安等の課題はあるものの、東南アジアにばかり目を向けるのではなく、これらの地域への働き掛けをもっと積極化しても良いのではないだろうか。