短大、大学への進学率が半数を越えた今、一口に女子学生といってもそのライフコース意識はさまざまだ。とはいえ5割以上の女子学生が、「将来は結婚しても正社員として頑張りたい」と考えていることが、上智大学大学院の谷田川ルミ氏の研究によって分かった。
同研究によると、女子学生の希望するライフコースと大学の入試難易度、そして「女らしさ」意識には明確な関わりがあるという(「現代女子学生文化に見る「女性性」意識に関する研究:ライフコース展望、入学難易度との関連に注目して」)。
女子学生に「あなたは将来どのような生き方をしたいですか?」と質問したところ、全体で5割以上が「結婚して仕事(フルタイムの正社員)も頑張りたい」と回答。「結婚+正社員志向」が主流であることが分かった。次に多いのが、主婦業をしながらパートで働くという「結婚+パート志向」。「専業主婦」という生き方を望んでいる女子学生は14%に過ぎなかった。
大学の類型別では「偏差値上位校」の学生ほど、キャリアと家庭を両立させたい学生が多かった。興味深いのは、資格系の短大・専門学校の女子学生は女らしさ意識が弱く、男性に対しても「対等」を望んでいる点だ。手に職を付け、男性に依存せずマイペースに生きたい学生が多いのかもしれない。一方、もっとも保守的だったのは「中堅大学」の学生で、女らしさや専業主婦志向がやや強かった。
心理学者の小倉千加子氏は今から約10年前、ある卓抜な表現で女子大生の希望するライフコースを描いた。それは「短大生パーソナリティ」という言葉だ。当時の短大生は結婚相手に望む条件が高く、同時に女らしさ意識や専業主婦志向が強かった。その「短大生はパーソナリティ」が進学率の高まりとともに、今では「中堅大学」の女子学生に移行しつつあるのかもしれない。
女子学生のライフコースと仕事は、今や切っても切れない関係にある。多様化する女性のキャリア意識に対し、企業には柔軟な対応が求められている。(編集担当:北条かや)