女子学生への「就職差別」はなくなったか

2013年02月04日 13:09

 この3月に卒業予定の大学生の就職内定率(昨年12月1日時点)は75%となり、前年を3.1ポイント上回った。男女別では、男子が74.5%(前年同期比1.4ポイント増)、女子が75.6%(同5.1ポイント増)で、女子の内定率が男子をやや上回るという結果になった。

 これまで、女子学生の就職活動には大きな障壁があった。20年ほど前までは就職して数年で寿退社する女性が多かったため、短大卒と比べて勤続年数が短くなる四大卒の女子はあからさまに敬遠された。女子には年齢制限を設けたり、「自宅通勤者のみ」という条件で採用したりする企業も多く、浪人・留年経験者や地方出身の女子学生にとって就活は大変なものだった。

 ところが1986年の男女雇用機会均等法によって、流れは大きく変わる。企業はコース別人事制度を設け、少なくとも形の上では女子学生も、男性と同じように働く「総合職」への応募が可能となった。

 それでもまだ女子学生に対する差別は根強く残っていたが、バブル景気によって企業が大量採用を行ったことや時代の流れもあって、女子の内定率は少しずつ上昇しつづけてきた。

 バブル崩壊後の就職氷河期には、企業が再び女子の採用を控えたことで男女格差が拡大したが、2000年代以降は男子との差がほとんどなくなっている(厚生労働省「大学等卒業者の就職状況調査」) 。少なくとも表面上は、女子学生に対する就職差別はなくなったようだ。

 にもかかわらず女子学生が就活に不安を感じてしまうとすれば、社会全体や企業の中では依然として、女性の活用が進んでいないからだろう。優秀な女子学生が多いので「男子学生に“下駄を履かせる”」といった話もよく聞くが、本音では男子学生を多く採用したい企業が多いことの現れかもしれない。また、うまく就職できても男性中心の企業風土に馴染めず退職したり、出産を機に仕事をやめざるを得なくなったりする女性は多い。

 就活という「入り口」での女子差別をなくすことも大切ではあるが、さらに重要なのは会社に入ってから、女性が活き活きと働ける風土を作ることなのではないか。