トマト飲料特需、メーカー各社が相次いで商品リニューアル

2012年09月24日 11:00

 矢野経済研究所によると、2011年度の牛乳・乳飲料を含む飲料市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比100.1%の4兆8630億円と微増している。この微増は、ミネラルウォーターや茶系飲料の需要の高まりを受けたことによるものであり、他の分野においては、震災の影響もあり、苦戦を強いられているようである。

 こうした中、トマトのメタボ改善効果が報じられた2月以降、需要が急激に広がったのがトマト飲料である。マーチャンダイジング・オンによると、2011年の市場規模は115億円とみられ、過去10年で半分以下に縮小しているという。この低落が続いたトマト飲料市場が、同調査によると、特需発生から2カ月を経過しても通常の2・5倍で推移するなど、息の長いブームとなっているようである。この流れを逃さぬよう、トマト飲料大手各社は相次いで新商品の発売や商品のリニューアルを発表して市場の維持・拡大を図っている。

 カゴメは、「野菜生活100 太陽のトマト果実」を全国でリニューアル。トマトをベースにりんごの美味しさとアセロラのほのかな酸味のすっきりした味わいが特長となっているという。地中海性気候で育った真っ赤なトマト1個分のリコピン8.0mgに加え、ビタミンA、C、Eも摂ることができるとして、元気と美容への訴求を図っている。

 伊藤園も、酸味が少なく完熟したトマトの甘みを引き出したトマト100%飲料「理想のトマト」をリニューアル発売。新たに小型ペットボトル(265g)も発売し、ラインアップを拡充している。「理想のトマト」は昨年5月に発売して以来、今年5月から8月までの売上げが昨年の7倍となるなど、元来人気の高い商品である。この人気商品をリニューアルし美味しくすることで、美容や健康を気にする女性への更なる訴求を図っている。

 さらに、協同乳業が9月24日から発売する「メイトー30品目の野菜100%」では、単品のトマトジュースではないものの、ターゲットとなる健康意識の高い主婦やファミリー層に対し、クセのない飲みやすい味とするためにベースとしてニンジンと共にトマトを使用していることをアピールしている。

 5月にはアサヒグループホールディングスとカゴメが、飲酒の際にトマトを一緒に食べることで血中のアルコール濃度が低下することを、ヒトによる試験で明らかにしたと発表。これもトマトへの需要が衰えない一つの要因といえる。トマトの旬である夏が過ぎ、トマト飲料を始めとする加工品の需要はさらに高まるであろう。この勢いをブームに終わらせず、定着させることができるのか、注目が集まるところであろう。(編集担当:井畑学)