相変わらず、なんだかんだとぎくしゃくした日韓関係であるが、技術革新の領域では素晴らしいコラボレーションが実現している。
LG Electronics Japan Labは、京セラ<6971>が開発した超薄型スピーカー「ピエゾフィルムスピーカー」を、薄型テレビ向けにスピーカーユニット「クリアスピーカー(Clear Speaker)」として開発した。これをLGエレクトロニクスの曲面型有機ELテレビへ搭載し製品化を実現した。
曲面型有機ELテレビは、LGエレクトロニクスが2013年1月に韓国で発表し、現在は韓国とアメリカで発売されている。有機ELテレビの画面を中央から左右両サイドにかけて内側にカーブさせ、画面までの距離差を最小化し、視角範囲を拡大。これにより、自然な視覚や映像の臨場感を向上させたとしている。
「ピエゾフィルムスピーカー」は、現在、主流の電磁式スピーカーが、構造上、薄型化に限界があり、機器設計やデザイン上の制約となっていたり、各種ディスプレイが有機ELや4K液晶へと高画質化するのに伴い、内蔵スピーカーにも画質に見合った高品質な「音」が求められているという背景から開発されたものだ。 主な特長は、超薄型・軽量(中型で厚さ1ミリ、重さ7グラム)により機器設計の自由度が向上すること。音の指向性が広く、応答速度に優れる高品質な音を実現していること。そして磁石を使用せずに、レアアースも必要としないことである。
京セラの独自技術により開発された圧電セラミック(ピエゾ素子)と、特殊なフィルム素材を組み合わせた超薄形状と高い音質性能を両立させたこの「ピエゾフィルムスピーカー」の技術をベースに、LGエレクトロニクスと京セラが超薄型テレビ向けに技術開発を進めたのが「クリアスピーカー」である。
しかし、この「クリアスピーカー」が搭載された曲面型有機ELテレビが日本で購入できない、というのはなんとも残念である。(編集担当:久保田雄城)