にわかに活気づく、日本企業による韓国での展開

2012年12月18日 10:15

 直近でも、2012年の年間貿易額(通関基準)が2011年に引き続き1兆ドルに達したと発表されるなど、好調さを窺わせる数字が出ているからであろうか、日本企業の韓国への進出や韓国企業との連携がにわかに活気づいているようである。

 特に12月17日は、そういった発表が重なった。まず、SBIグループのSBI AXESが、韓国での事業拡大を図るため、グループ各社の営業活動支援を目的として韓国子会社の設立を発表。同社による、韓国取引所のKOSDAQ市場への上場に向けた事業展開となる。さらに同社は、アプリケーションストア「T store」を運営する韓国のSKプラネットと包括的業務提携を締結したと発表。相互の市場進出支援及び誘導の強化などで連携を図るという。また野村総研も、グループ会社であるノムラ・リサーチ・インスティテュート・アジア・パシフィックを通じて、韓国にNRIソウルを設立。現在の野村総合研究所ソウル支店の事業を引き継ぎ、民間企業や政府機関に対するコンサルティングサービスを強化するとのこと。さらに三菱レイヨンも、韓国SK社と戦略的事業提携を結んだと発表。アジア市場における炭素繊維プリプレグ事業の発展拡大を図るという。具体的には、長期供給契約を締結し、三菱レイヨンがSk社に炭素繊維を安定的に供給、炭素繊維を用いたプリプレグ製品をSk社に生産委託する。

 その他、先週末にはディー・エヌ・エーが韓国の通信事業者KTと、日本・韓国間におけるソーシャルゲームコンテンツの相互提供に関する提携につき、基本合意したと発表。12日にはエフ・シー・シーも、韓国の完成車メーカーへの販売を目的として4輪車用クラッチの製造販売拠点を設立し、東芝も、スマートフォンや携帯電話などの携帯機器向けとしてWPCが提唱するQi規格のローパワー分野において、韓国のHanrim Postech LLC社と無線給電システム向けICの開発で協業することに合意したことを発表している。

 前記貿易額だけをみれば好調にも感じられる韓国経済であるが、2012年第3四半期の実質GDP成長率は前期比0.2%と、11四半期ぶりの低成長となっている。設備投資の不振などが成長率を押し下げており、今後しばらくは経済の低成長が続くとの見方が一部で広がっているという。二国間関係の行く先も不透明な中、今、あえて韓国での活動を活発化させることのメリットはどこにあるのか。今後の成果・動向に注目が集まるところであろう。(編集担当:井畑学)