秘密保護法 統治機構根底から蝕むと日弁連会長

2013年10月04日 17:52

 日本弁護士連合会の山岸憲司会長が特定秘密保護法案に反対声明を発表した。政府は臨時国会で成立を目指している。山岸会長は「法案には手続き面、内容面で重大な問題がある」とし「法案は今国会に提出されるべきではない」と見直しを強く求めている。

 山岸会長は逆に「重要な公的情報を適正に保管するための公文書管理法の改正と国民の知る権利を充実させるための情報公開法の改正こそが行われるべき」と提起した。

 山岸会長は法案の反対理由について、手続き面で「法案内容が統治機構の在り方、国民主権、国民の諸権利に重大な影響を与えるものであるにもかかわらず、政府は国民に秘したまま7年以上にわたり水面下で検討しながら、1か月前に突如法案の概要を示し、パブリックコメント期間を2週間しか設けないという国民不在の手続を強行した」と入り口から問題提起。

 法案には9万件のパブリックコメントが寄せられ、8割が反対であったのに「パブリックコメント終了後わずか12日目に本件法案を公表。寄せられた国民の意見を検討できるはずもなく、子細に検討し法案に反映させようとの姿勢は全く窺えない」とした。

 法案内容についても「特定秘密の範囲が広範かつ不明確。違法秘密や疑似秘密(政府当局者の自己保身のための秘密)の危険性もそのままであり、適性評価におけるプライバシー侵害の問題や重罰化、共謀・独立教唆の処罰による取材活動の萎縮や知る権利の制約の問題も解消されていない」とした。

 また「国会等に特定秘密を提供した場合に、議員がその情報を議員活動でどのように利用できるかについても不明確なままで、これでは国会が国権の最高機関であることを無視するものというほかない」と問題点を指摘。「全国民を代表する国会議員によって構成される国会が行政を監視するのではなく、逆に行政によって国会が支配されかねない構造となっており、わが憲法下の統治機構の在り方を根底から蝕むもの」と危険性を提示して厳しく批判した。(編集担当:森高龍二)