ヘイトスピーチ(憎悪表現)の街宣により民族教育に支障が出たなどとして損害賠償を求めた裁判で、被告側に賠償命令判決が7日、京都地裁で出されたことについての感想を求められた菅義偉官房長官は同日夕、「個別の民事訴訟についてコメントするのは控える」としながらも「ヘイトスピーチと呼ばれる差別的発言によって商店などの営業や学校での授業、各種の行事、催し物が妨害されているということには極めて憂慮すべきものがある」と憂慮の念を示した。
菅官房長官は「こうしたことがないように、関係機関において法令に基づいて適切に対応したい」と答えた。また「適切に対応できるように、政府として、関心を持っていきたい」とした。ヘイトスピーチを直接的に取り締まる法はないが、国際観光国家、文化国家として差別的な意図が明らかな暴言や差別行為を煽る言動に対しては何らかの規制や罰則が必要との声もある。表現の自由とのバランスの中で検討課題になりそう。
なお、京都地裁の事案は、京都朝鮮第一初級学校を運営する京都朝鮮学園が在日特権を許さない市民の会の街宣の繰り返しにより、民族教育を妨害されたとして、会と会の関係者に対し3000万円の損害賠償と学校周辺での街宣活動の差し止めを求めたもので、地裁は「被告の示威行為は人種差別に該当する」と原告の訴えを認め、被告に約1200万円の支払いと街宣差し止めを命じたもの。(編集担当:森高龍二)