三菱マテリアルが、世界に先駆けて使用済みハイブリッド自動車からのレアアース磁石の回収技術の開発およびリサイクルシステムの実証に着手したと発表した。
自動車産業では、ハイブリッド自動車など環境に配慮した自動車の需要が拡大しており、2020年には年間40万台もの使用済みハイブリッド自動車が発生することが予測されている。様々な電動部品を搭載するハイブリッド自動車には、ネオジムやジスプロシウム等のレアアースや希少金属が使用されているものの、現状はリサイクル技術が確立されていないという。一方でレアアース等は、その希少性や偏在性から資源枯渇の可能性や価格高騰などが懸念されており、安定調達が喫緊の課題となっている。
こうした環境の下、今回の実証では、ホンダ製のハイブリッド自動車を中心に駆動用モーターを取り出し、レアアース磁石を効率的に回収するための技術を開発するため、ホンダトレーディングが自動車回収システムの実証協力を、マーク・コーポレーションが回収した部品などの前処理実施協力および実証設備の設置協力を、三菱マテリアルが事業実施主体としてリサイクル技術開発を実施し、使用済みハイブリッド自動車を回収するプロセス等を含めたリサイクルシステム全体の設計、実証を行う
携帯電話やパソコン等、身の回りの様々なものにレアアースが使用されている。ハイブリッド自動車に限らず、こうした電子機器についても一日も早いリサイクル技術の確立が望まれる。環境問題への貢献だけでなく、産出国との関係や産出国内の動向に左右されずにレアアースを確保する為にも、他国に依存しない体制を早急に築く必要があるであろう。