小松一郎内閣法制局長官は25日の参議院決算委員会で集団的自衛権の行使についての憲法解釈について「安倍内閣においても、現時点で、集団的自衛権に対する憲法解釈は従来通り(従前の政府見解と同じ)」としながらも、今年8月に民主党の辻元清美衆議院議員の質問主意書に答えた政府見解をそのまま繰り返し、憲法改正を待たず、憲法解釈で集団的自衛権の行使が可能となる余地を残した。民主党の小西洋之議員の質問に答えた。
小松内閣法制局長官は「現時点で解釈について、憲法解釈は従来通り」とする一方で、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会で、わが国周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中、それにふさわしい対応を可能とするよう安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの認識のもと、集団的自衛権の問題を含めた憲法との関係の整理について検討が行われているところであり、政府としては懇談会の議論を踏まえて対応を改めて検討していく。これが内閣の立場」とした。
小西議員は「集団的自衛権の行使には憲法の条文変更を行わなければ無理。憲法改正を行うほかないというのが内閣法制局長官の答弁だった。集団的自衛権の行使は憲法改正をしなければできないという解釈でよいのか」と何度となく、質したのに対し、小松長官は「(安倍内閣の憲法解釈は)現時点において従来通り」と同じ答弁を繰り返した。「現時点」を必ずつけたところに、将来変更がありうることを強くうかがわせた。
また、会計検査院の河戸光彦院長は「憲法に違反する行政支出があった場合には会計検査院の検査対象になりうる」と小西議員の質問に答えた。小西議員は「ありえない話だが、わが国は平和憲法なので防衛省は相手国国土の壊滅的破壊を行う大陸弾弾道ミサイルのようなものは購入できない。憲法違反のそうした支出には会計検査院がしっかり切り込んで頂きたい」と要請した。(編集担当:森高龍二)