集団的自衛権 地理的概念で考えないに言及せず

2013年09月26日 08:39

 安倍総理が集団的自衛権の範囲について「地理的な概念で『地球の裏側』という考え方はしない」との考えを示し「国民の生命・財産・国益に密着するかだ」との考えを示したことについて、菅義偉官房長官は25日夕の記者会見で「安全保障に関する法的基盤の再構築にむけた懇談会が開かれているが、(前回の報告書がまとめられて以降の)安全保障の環境変化を踏まえ、検討が行われている。政府としては、この議論の結果が出るのを待ちたいと思っている」と、総理の考えに対する言及は避けた。

 安保法制懇では集団的自衛権の活動範囲についても議題になるのか、との記者団の問いにも「今、検討されている最中なので、検討が終わった時点で報告を受けるので、その議論の結果を待ちたい」とすべて報告を受けてからの話とした。

 安保法制懇の内容によっては、政府として日本周辺以外の遠隔地にも自衛隊を派遣する可能性の議論はあるのかと聞かれても「わが国の平和と安全を維持するためにどのように考えるべきかが検討されているので、報告書を待ちたいと思うし、議論は始まったばかりなので、今の段階で、そうした方向性を(政府が)示すべきでないと思う」とかわした。

 地理的な範囲については自民党の部会で高見沢将林官房副長官補は「絶対に地球の裏側まで行かないという性格のものではない」とするなど、安倍総理と考えを共有しているように見える。一方で、小野寺五典防衛大臣は「地球の裏側までいくということを想定しているわけでない」と記者会見で述べており、総理や高見沢官房副長官らと認識の違いも見え隠れする。

 安保法制懇の報告が出れば、政府・与党、さらに国会の場で「解釈変更で集団的自衛権の行使が可能なのかどうか」「可能との結論が出た場合にはどのような場合に可能なのか」「日本周辺以外でも自衛隊が活動できるのか」、地理的概念でないとすれば地球の裏側も範疇に加えられる可能性があるなど、大きな争点になりそう。日米同盟の深化が『日米同体』として日本にかかわりのない紛争に巻き込まれることにならないのか、行使容認なら『法制による厳格な歯止めが重要』になる。(編集担当:森高龍二)