東京モーターショーでは、数多くの超小型モビリティが展示されていたが、なぜか懐かしさを感じつつ、ヨーロッパ車のような洗練された超小型モビリティがあった。
それがデュラックス有限責任事業組合が制作した「D-FACE」だ。このデュラックスとは、ユー・アイズ・デザインと、デザイン&リラクゼーションズ、ディーアートの3つカロッツェリア(車体製造業者)が共同して立ち上げた会社。そのデザインを担当したのは、元トヨタ自動車<7203>の元デザイナーだという。可愛らしいボディは、半世紀も前に発売されていた、BMWの「イセッタ」からヒントを得たもので、それを現代に超小型EVとして誕生させたのだ。
パワーユニットとなるのは、トヨタ車体<7221>が開発、販売している超小型EVの「COMS(コムス)」。すでにセブン・イレブン<3382>でも宅配サービスとして稼働しているものだ。この「COMS」のパワーユニットを使って、さらに発電機を搭載することで、長距離走行も可能としている。
また、室内を見てみると、ハンドルが航空機の操縦桿のような形状になっていて、ハンドル中央部には、タブレット型端末がインストールされている。端末の上に観光地のガイドブックや地図を乗せると、天井に設置したカメラでその情報を読み取り、データベースで参照した該当情報を、端末に表示させる次世代ナビシステムとなっている。
面白いのが、BWM「イセッタ」と同様に、1ドアで、しかもクルマの前から乗り降りするところだ。「イセッタ」はドアが横開きになるのに対して、このD-FACEは、上に跳ね上がり、しかも電動開閉式ドア。そのため、狭い駐車場での乗り降りがしやすくなるだけでなく、乗り降りの際の身体負荷も少なく、雨天時にはドアが傘代わりにもなってくれる。
スペックを見てみると、2人乗りで、ボディサイズは全長2400×全高1500×全幅1470ミリ。重量は400kgと「イセッタ」よりは大きいが、軽自動車を遥かに下回る。100V電源で充電でき、最高速度は70km/h。販売価格は50~70万円(※国の補助制度有り)を予定している。
実証実験は来年中には行ないたいとのことで、観光地での運用を検討している。観光地では、好き場所に停めて、この前開きのドアを上げて、景色を堪能するといった、今までになかったような楽しみ方もできるだろう。(編集担当:鈴木博之)