東電、新しい再建計画を発表

2014年01月20日 07:17

 15日、東京電力<9501>が新しい再建計画の内容を発表。それによると、10年間の累計でコスト削減額を3.4兆円としていたが、それにさらに1.4兆円上積みし、合計で4兆8000億円とすることなどが新たに加えられた。

 そして収支改善の命運を握る柏崎刈羽原発の再稼働だが、今年の7月より順次稼働と仮定しているものの、東京電力の広瀬直己社長は会見にて、「再稼動は仮置きであり、計画ではない」と慎重な姿勢を崩そうとはしなかった。

 2011年3月の福島第1原子力発電所の事故発生を受け、当時の民主党政権は12年5月に東京電力の総合特別事業計画を認定。しかし、収益改善を担う大きな要素である柏崎刈羽原発を13年4月より順次再稼働させるという計画に狂いが生じたため、計画の再検討を迫られていた。

 その一方、福島第1原発の汚染水対策や廃炉費用に国費を投入することが決まり、東京電力側もそうした費用の負担を行うために、グループ全体で2000人規模の希望退職者を募り、それによりこれまでの計画額の3.4兆円にさらに1兆4000億円を上積みし、合計で4兆8000億円のコスト削減を実現する想定だ。

 また新しい計画には、16年に行われる予定の電力小売りの全面自由化や、発送電分離といった電力システム改革を視野に入れ、3カンパニーおよびコーポレート(事業持ち株会社)からなるホールディングカンパニー制に移行する内容を盛り込んだほか、原発停止によって収支を圧迫している燃料・火力部門については、地域や業種を越えたビジネスを積極的に展開し、将来的に6500億円のコストダウンを目指すとしている。

 収支改善のキーとなる柏崎刈羽原発の再稼動に関しては、今年の7月から原子力規制委員会が審査中の7号機を、来年度の上期中に同じく審査中の6号機を再稼動させるとの仮置きをした。

 また15年3月期の経常利益に関しては、新しい計画では1677億円(14年3月期見込みは271億円)と想定。もし柏崎刈羽原発の6号機、7号機の再稼働が予定よりも大きく遅れるようなことになった時には、14年の秋頃までに値上げするかどうかの判断を示すとのこと。(編集担当:滝川幸平)