太陽光発電所建設ラッシュ、他の再生可能エネルギーの動向は

2012年08月27日 11:00

 7月から開始された再生可能エネルギーの固定買取制度。これによりメガソーラー発電所の建設ラッシュとなるなど、太陽光発電事業に参画する企業が増加している。一方で、同様に固定買取制度の対象となっている風力・水力・地熱・バイオマスを用いた発電については、参画する企業は少ないのが現状である。

 地熱発電に関しては、6月に王子製紙と大林組とが、北海道の美瑛町にて共同調査を実施すると発表。JX日鉱日石金属も、かねてから地熱発電の可能性について調査を進めていた札幌市豊羽地区において、調査井の一本から水蒸気の噴気を確認したと発表している。しかし、未だ実用化・普及が進んでおらず、固定買取制度により調査・開発が活発化したとは言えない状況にある。

 また風力発電に関しても、安川電機が、大型風力発電用電機品Enewin(エネウィン)シリーズのラインアップとして、今後の風車の大容量化・洋上化を見据えた液冷コンバータの販売を開始すると発表。日立製作所も、洋上風力発電システムの大型化ニーズに対応するため、ダウンウィンド方式の特徴を生かした世界初の5MW級ダウンウィンド洋上風力発電システムの開発に着手したと発表はしているものの、固定買取制度を念頭に置いたような風力発電所の建設に関する動向は鈍い。

 さらに水力やバイオマスに関しては、目立った動きすらないのが現状である。太陽光発電以外に関しては、高い技術力や投資が必要であるなど、発電事業参画の際に採用する手段としてはハードルが高いことは事実であろう。その点、太陽光発電であれば工場の屋根などに機器設置するだけで良いため、採用しやすいと言える。しかし、太陽光発電は天候に左右されやすいなどの弱点もあり、リスクヘッジのためにも、一つの手段に依存した電力供給となるべきではない。太陽光発電への支援を中止してでも、他の再生可能エネルギーの研究開発・事業化が急がれるべきではないだろうか。