コンビニ市場の拡大が止まらない。主力コンビニチェーン10社における国内店舗数は5万店を突破し、全店ベースとした売上高は年間10兆円規模まで拡大しているという。
日本フランチャイズチェーン協会の調査によれば、出店の内訳は「セブン-イレブン<8183>」が24.1%、「ローソン<2651>」が16.6%、「ファミリーマート<8028>」が13.1%と、いずれも大手3社による大量出店が目立っているとのこと。
また、都道府県別にトップシェアの店舗をみると、セブン-イレブンが最も多く22都県となった。次いでローソンが17府県、ファミリーマートが3県、サークルKサンクスが4県、そして北海道のみセイコーマートとなっている。関東から南東北にかけ、セブン-イレブンがトップシェアを占める地域が広がっていることが伺える。
経済産業省「商業販売統計」によると、小売業年間販売額は、近年横ばい傾向が続いており、平成24年は約137兆円である。業態別にみると、大型小売店のうち百貨店が6兆6,389億円、スーパーが12兆9,527億円、そしてコンビニが9兆4,772億円となっている。スーパーが横ばい、百貨店が減少している一方で、コンビニは平成10年の段階では6兆円ほどであったが年々増加を続けており、市場は10兆円に迫る規模になっているという。
店舗数の増加に合わせ、全店ベースの年間来店客数は、平成22年は約139億人だったのに対し、平成25年は約155億人まで増加している。1日に3人に1人がコンビニを利用していることになる。
市場規模およびユーザーは増加しているが、それに伴い店舗数も増加しているため、売り上げ店は苦戦を強いられているという。
コンビニ既存店の月次売上高推移をみると、ここ数年はほぼ6~8千億円の間で横ばい。平成25年の前年比増加率では、6月、11月を除き前年割れとなっているとのこと。新規出店により全店ベースでは売上高の拡大が続くが、既存店売上では伸び悩んでいる状況だ。
さらに、業態の違うスーパーやドラッグストアなどもコンビニ化が進むなど、既存の概念に当てはまらない事業展開が進んでおり、同業他社のみならず垣根を越えた厳しい競争が繰り広げられるのではないかと予測している。
そんな中各社は、既存のコンビニの範囲にとどまらない新たな顧客の獲得に躍起になっている。ローソンは2月6日、パナソニックと共同し「次世代コンビニ」と銘打った実験的な店舗を大阪府守口市内にオープンさせた。「電力使用量を50%削減する省エネメニューやデジタルサイネージを導入」したり、「お客様に癒しを提供するリラクゼーションコーナーを設置」したりするのだという。いずれも具体的なサービス内容は明確にされていないが、「次世代」と銘打つだけにこれまでにないコンビニの在り方を模索していることは間違いないと言える。一方セブン-イレブンは3月1日に愛媛県内で、本格的な書籍チェーンとの併設店舗を出店した。
あらゆる小売店がコンビニ化していく現状で既存店は生き残れるのか。激化する競争の行く末は?(編集担当:堺不二子)