スーパー化するコンビニと、コンビニ化するスーパー

2014年03月05日 16:46

 株式会社ローソンが、2月末にオープンした「ローソンマート」。05年から展開している“生鮮コンビニ”「ローソンストア100」の進化型との位置づけで、売場面積はローソンストアの約1.5倍~2倍。さらにATMや公共料金支払いなどにも対応し、コンビニの利便性も兼ね備えた新しい小型スーパーだ。

 イオンは05年から東京・神奈川で小型食品スーパー「まいばすけっと」を展開しており、コンビニが取りこぼしていた「生鮮食品へのニーズ」に対応してきた。「ローソンマート」は今後、「まいばすけっと」の競合となる可能性もある。

 ここ数年、国内のコンビニ店舗数は右肩上がりで増加。一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会のデータをみると、14年1月時点で国内に4万9481店で、前年同月比5.4%増となっている。1日約50店のコンビニが新たにオープンしている計算だ。

 コンビニ市場は飽和気味ともいえるが、大手は収益性の高いプライベート・ブランドの割合を増やし、利益を確保している。震災後、主婦や高齢者が日用品を買うためにコンビニを訪れる機会が増えたのをきっかけに、大手各社はこうした層に訴えかける品揃えへとシフト。食品スーパーの需要をも取り込もうとしている。

 こうした動きを、一般財団法人とうほう地域総合研究所は「コンビニのスーパー化」と表現する(レポート「コンビニエンスストアの動向について」)。「セブンゴールド」の食パンがヒットし、スーパーで売られるナショナルブランドを超える勢いで売れているセブン-イレブンはもちろん、2月にオープンしたローソンマートも、食品スーパーに近い品揃え。コンビニ業界のスーパー化が進んでいるのだ。
 
 食品スーパーも、近年では「コンビニ化」が進んでいるという。イオンなどを中心に24時間営業のスーパーが増え、厨房で作った高品質の惣菜や生鮮食品などを提供。コンビニにはない品揃えをコンビニ感覚で利用できることを売りにし、「スーパーのコンビニ化」も進んでいるようだ。小売業界では、業態を超えた競争が始まっているといえるだろう。(編集担当:北条かや)