静岡福祉大学、長野サマライズ・センター、新日鉄ソリューションズ、セイコーエプソンが、エプソンのシースルーモバイルビューアー「MOVERIO(モベリオ)」と新日鉄ソリューションズの開発した「字幕表示アプリケーション」を用いた共同実証実験を実施すると発表。災害時に聴覚障害をサポートする手段として、エプソンのシースルーモバイルビューアー「MOVERIO」の有効性を検証する。
今回の実証実験では災害時を想定し、「MOVERIO」を装着した聴覚障害者に、目の前に表示される災害情報や経路指示を見ながら避難。目の前に表示される避難経路を確認しながら移動でき、さらに両手も自由であるため、安全かつ速やかな避難が可能になるとの仮定の実証を行う。
実証実験は、日本学術振興会が共催する静岡福祉大学の授業「スマホとiPadを活用し障害を支援する ~学校を拠点とした災害時情報バリアフリー~」内で実施。セイコーエプソンが、シースルーモバイルビューアー「MOVERIO BT-100」を提供し、新日鉄ソリューションズは、長年にわたるARに関する研究開発と実フィールドでの適用実績をベースとして「MOVERIO」向けAndroidソフトウェア「字幕表示アプリケーション」を提供、「MOVERIO」に必要な情報を表示する。また長野サマライズ・センターは、聴覚障害者が装着した「MOVERIO」に表示する災害情報や避難経路などの分かりやすい文字情報を作成、入力するノウハウを提供する。
日本福祉用具・生活支援用具協会の福祉用具市場規模調査によると、2001年度から市場規模全体は横ばいが続き、2008年度・2009年度と減少。しかし2010年度には、全体で1兆1504億円、対前年比104.7%と増加に転じている。さらに昨年の震災を機に、今回実証実験を行われるような、災害時に障害者が安全・迅速に避難するための商品やサービスに対する需要が高まっている。今後、社会の高齢化が進むにつれてこの傾向は益々強まるであろう。どこまで成長するのか、注目の集まる市場であろう。