魚釣島上陸 国の方針に反し遺憾 藤村官房長官

2012年08月21日 11:00

 藤村修官房長官は20日の記者会見で、尖閣諸島の魚釣島に地方議会議員ら10人が政府の許可なく上陸したことについて「尖閣諸島が我が国の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いのないことで、現に我が国はこれを有効に支配している。尖閣諸島をめぐる領有権の問題はそもそも存在しない」としたうえで「尖閣諸島へは政府関係者を除き何人(なんびと)も上陸を認めない方針をとっている。上陸は国の方針に反しており遺憾だ」と語った。

 一方で、中国政府や台湾当局から日本人の上陸に対しそれぞれ申し入れ(抗議)があったとしたうえで「尖閣諸島に対する独自の主張に基づく申し入れであり、受け入れられない旨を申し入れた」として、今回の上陸は国内の問題とした。

 また藤村官房長官は「日中関係は我が国にとって最も重要な2国間関係のひとつであり、アジア太平洋地域の安定と繁栄のために中国の建設的役割は不可欠」と語り、中国への期待とともに「大局的観点から日中の互恵関係を一層深めていきたい」意向も語った。

 今回の事案は19日午前8時ころ地方議会議員らが魚釣島に上陸し、岸壁に国旗を掲げ、沖縄県警や海上保安庁職員から島からの退去を警告されて、午前10時ころ退去したもの。「退去後に島で6枚の国旗が確認された」(藤村官房長官)という。

 尖閣諸島が日本の領土であることをアピールするための行為であったとしているが、結果、中国国内での領有権を巡る反日デモを激化させ、一部暴徒化も招いている。日本政府が在留邦人の安全確保を要請する事態になっており、日中関係の悪化が懸念されている。また、日本国内でも「韓国、中国、ロシアと領土問題をめぐり関係がギクシャクする中で(魚釣島に)許可なく上陸するとは軽率」との声や「近海まで一緒だった国会議員がなぜ上陸を制止できなかったのか」との声もある。(編集担当:森高龍二)